国家工商行政管理総局令 
第66号

『馳名商標の認定及び保護に関わる規定』は国家工商行政管理総局の局クラスの会議にて審議を経て採択されたので、ここに公布する。公布日より30日後施行されるものとする。
 

局長 張  茅 
                                                                                  2014年7月3日

 馳名商標の認定及び保護に関わる規定
(2014年7月3日国家工商行政管理総局令第66号にて公布)


第1条
  馳名商標に関わる認定作業を規範し、馳名商標の所有者の合法的な権益を保護するために、『中華人民共和国商標法』(以下、商標法という)、『中華人民共和国商標法実施条例』(以下、実施条例という)に基づき、本規定を制定する。

第2条
馳名商標とは、中国で関連公衆に周知され、且つ高い名声と信用を有する商標をいう。

関連公衆には、商標が使用されているある種類の商品又は役務と関連性がある消費者、前述の商品を生産し、又は役務を提供するそのほかの経営者及び販売ルートに関わる販売者及び関係者などを含む。

第3条
商標局、商標審判委員会は当事者の請求及び審査、案件処理の必要に応じて、商標登録出願の審査、商標係争の処理及び工商行政管理部門が商標違法案件を取締る過程において、馳名商標を認定し、保護する。

第4条
馳名商標の認定は、個別認定、受動保護の原則に従う。

第5条
当事者は商標法の第33条の規定に基づき、商標局に異議申立て、且つ商標法の第13条の規定に基づき、馳名商標の保護を請求する場合、商標局に書面にて馳名商標の保護を請求し、且つその商標が馳名商標に該当することを証明できる証拠資料を提出する。

第6条
当事者は商標の登録不許可不服審判の案件及び無効宣告を請求する案件において、商標法の第13条の規定に基づき、馳名商標の保護を請求する場合、書面にて商標審判委員会に馳名商標の保護を請求し、且つその商標が馳名商標に該当することを証明できる証拠資料を提出する。

第7条
馳名商標の保護に関わる商標違法案件は、市(地、州)クラス以上の工商行政管理部門より管轄される。当事者は、工商行政管理部門に商標の違法行為の取締りを請求し、且つ商標法の第13条の規定に基づき、馳名商標の保護を請求する場合、違法行為の発生地の市(地、州)クラス以上の工商行政管理部門に告発し、且つ書面にて馳名商標の保護を請求し、その商標が馳名商標に該当することを証明できる証拠資料を提出する。

第8条
当事者は、馳名商標の保護を請求する場合、信義誠実の原則に従うべきであり、且つ事実及び提出された証拠資料の真実性に対して責任を負うものとする。

第9条
下記の資料は、商標法の第14条第1項の規定に定められたことを証明できる証拠資料とすることができる。

(1)関連公衆の当該商標に対する認知度を証明できる資料。

(2)当該商標の持続的な使用期間を証明できる資料。例えば、当該商標の使用、登録に関わる履歴及び範囲の資料。当該商標が未登録商標である場合、その持続的な使用期間が5年以上であることを証明できる資料を提供しなければならない。当該商標が登録商標である場合、登録してから3年以上であること、或いは持続的な使用期間が5年以上であることを証明できる資料を提供しなければならない。

(3)当該商標の如何なる宣伝の持続的な期間、程度及び地理的範囲を証明できる資料。例えば、最近3年以内の広告宣伝及び販売促進のイベントの方式、地域範囲、宣伝マスコミの種類及び広告の投入量などの資料。

(4)当該商標が中国又はそのほかの国や地域において馳名商標として保護されたことを証明できる資料。

(5)当該商標が馳名であることを証明できるその他の証拠資料。例えば、当該商標を使用した主要商品の最近3年以内の売上高、市場占有率、純利益、納税額、販売地域などの資料。

  前項にいう「3年」、「5年」とは、異議を申立てられた商標の登録出願日より、無効宣告請求された商標の登録出願日より前の3年、5年をいい、商標違法行為を取締る案件において、馳名商標の保護が請求された日より前の3年、5年間をいう。

第10条
当事者が本規定の第5条、第6条の規定に基づき、馳名商標の保護を請求する場合、商標局、商標審判委員会は商標法の第35条、第37条、第45条に定められた期間内にタイムリーに処理しなければならない。

第11条
当事者は本規定第7条の規定に基づき、工商行政管理部門に商標の違法行為の取締りを請求した場合、工商行政管理部門は告発材料に対して調査したうえ、『工商行政管理機関行政処罰手続きの規定』の関係規定に基づき、立案するか否かについて決定しなければならない。立案と決定した場合、工商行政管理部門は、商標法の第13条、第14条、実施条例の第3条及び本規定の第9条の規定に基づき、当事者より提出された馳名商標の保護の請求に関わる証拠資料を初歩的に確認し、審査しなければならない。初歩的な確認をし、審査した上、規定を満たす場合、馳名商標認定に関る資料を受領した日より30日以内に馳名商標の認定申請書類、案件に関わる資料の副本を一括して上級の工商行政管理部門に送付しなければならない。審査を経て規定を満たさない場合、『工商行政管理機関行政処罰手続きの規定』の関係規定に基づき、タイムリーに処理しなければならない。

第12条
省(自治区、直轄市)工商行政管理部門が本管轄区域の市(地、州)クラスの工商行政管理部門より送付された馳名商標の認定に関わる資料に対して、商標法の第13条、第14条、実施条例の第3条及び本規定の第9条の規定に基づき、確認、審査しなければならない。確認及び審査を経て、規定を満たす場合、馳名商標の認定に関わる資料を受領した日より30日以内に、馳名商標の認定申請書類、案件資料の副本を一括して商標局に送付しなければならない。審査を経て、規定を満たさない場合、関係資料を元の立案機関に返却し、その機関より『工商行政管理機関行政処罰手続きの規定』の規定に基づき、タイムリーに処理しなければならない。

第13条
商標局、商標審判委員会は、馳名商標を認定する時、商標法の第14条第1項及び本規定の第9条に列挙された各要素を総合的に考慮しなければならないが、全部の要素を満たすことは前提としていない。

商標局、商標審判委員会は馳名商標を認定する時、地方工商行政管理部門に関係事情を確認してもらう必要がある場合、関係する地方工商行政管理部門は協力しなければならない。

第14条
商標局は省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門より送付された馳名商標の認定に関わる資料に対して審査し、馳名商標に該当すると認定した場合、送付した省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門に書面にて返答しなければならない。
立案した工商行政管理部門は、商標局より書面にて認定の返答がされた日より60日以内に法によって処理し、且つ行政処罰決定書の写しを省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門に送付しなければならない。省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門は報告された行政処罰決定書を受領した日より30日以内に案件の処理状況及び行政処罰決定書の副本を商標局に送付しなければならない。

第15条
各クラスの工商行政管理部門は商標の登録出願及び管理作業において馳名商標への保護を強め、権利者及び消費者の合法的な権益を守らなければならない。商標の違法行為は犯罪の嫌疑がある場合、案件をタイムリーに司法機関に移管しなければならない。

第16条
商標登録出願の審査、商標係争の処理及び工商行政管理部門が商標違法行為を取締る案件において、当事者は商標法の第13条の規定に基づき、馳名商標の保護を請求する場合、当該商標がわが国において馳名商標として保護を受けた記録を提出することができる。

当事者より請求した馳名商標の保護範囲が馳名商標として保護された範囲とは基本的に一致し、且つ相手方の当事者が当該商標の馳名に対して異議がない場合、或いは異議があるが、異議の理由及び提供された証拠が明らかに当該異議を明らかに支持できない場合、商標局、商標審判委員会、商標の違法案件の立案部門は当該保護の記録に基づき、関係する証拠と結び付けながら、当該商標を馳名商標としての保護を与えることができる。
 
第17条
商標の違法案件において当事者が詐欺をし、又は虚偽の証拠資料を提供するなど不正な手段で馳名商標の保護を詐取した場合、商標局より関係する商標に対してなされた認定を取消し、且つ馳名商標の認定を報告する省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門に通知する。

第18条
地方工商行政管理部門が本規定の第11条、第12条の規定に違反し、馳名商標の認定に関わる資料に対して確認及び審査の職責を履行していなく、或いは本規定の第13条第2項の規定に違反し、協力、又は確認の職責を履行してなく、或いは本規定の第14条第2項の規定に違反し、期限を過ぎて、商標の違法案件を処理していなく、又は期限を過ぎて、処理状況を報告していない場合、上級の工商行政管理部門より通達し、是正を命じる。

第19条
各クラスの工商行政管理部門は、馳名商標の認定作業の監督検査制度を築き上げ、完備しなければならない。

第20条
馳名商標の認定及び保護に関わる関係者は、職務を怠り、職権を濫用し、情実にとらわれ不正行為を行い、法に違反し、馳名商標の認定に関わる事項を取り扱い、当事者から財物を受け取り、不正な利益をむさぼる場合、関係規定に基づき、処理する。

第21条
本規定は公布した日より30日後に施行される。2003年4月17日に国家工商行政管理総局より公布した『馳名商標の認定及び保護に関わる規定』は同時に廃止される。