旧規定 | 新規定 | ||
一、 | 発明、実用新案特許権利範囲の確定 | 一、 | 発明、実用新案特許権利範囲の確定 |
(一) | 権利範囲確定の解釈対象 | (一) | 権利範囲確定の解釈対象 |
1. | 発明又は実用新案特許の権利範囲はその請求項(クレーム)の内容に準じる。明細書及び図面はクレームの解釈に用いることができる。しかし、明細書及び図面の内容はクレームに取り入れることはできない。 | 1. |
発明又は実用新案特許権侵害紛争事件を審理する際に、先に特許権の権利範囲を確定すべきである。発明又は実用新案特許権の権利範囲は、クレームに記載された技術的特徴により確定された内容に準じるものとし、記載された技術的特徴と相互均等な技術的特徴により確定された内容も含む。 特許権の権利範囲を確定する際に、特許権者が権利根拠として主張した関連クレームに対して解釈すべきである。 |
2. | 特許の独立クレームは、発明又は実用新案特許の技術案を全体的に反映し、技術的課題を解決するための必要技術的特徴を記載している。その権利範囲は従属クレームと比べて最も広い。そのため、特許の権利範囲を確定する時、権利範囲が最大の独立クレームに対して解釈すべきである。 | 2. | 特許の独立クレームは、発明又は実用新案特許の技術案を全体的に反映し、技術的課題を解決するための必要技術的特徴を記載し、その権利範囲は従属クレームと比べて最も広い。特許の権利範囲を確定する際に、通常、権利範囲が最も広い独立クレームに対して解釈すべきである。 |
3. | 1つの特許に2個以上の独立クレームが存在する場合がある。権利者が提出した特許権侵害訴訟請求に基づいて、その中で独立クレームが確定する権利範囲のみを解釈する。 | 3. | 1つの特許に2つ以上の独立クレームを有する場合は、権利者が提出した請求に基づいて、そのうちの独立クレームが確定する権利範囲を解釈すべきである。 |
4. | 権利者が特許の従属クレームにより被告の権利侵害を訴えた場合、裁判所は従属クレームの権利範囲について解釈することができる。 | 4. | 権利者が従属クレームにより特許の権利範囲を確定することを主張した場合、当該従属クレームに記載された付加的技術的特徴及び従属クレームに直接又は間接的に引用したクレームに記載された技術的特徴に基づき、併せて特許の権利範囲を確定すべきである。 |
5. | 技術的特徴とは、クレームで限定された技術案において、ある程度独立的に一定の技術的機能を果し、かつ、ある程度独立された技術効果を生じる最小技術単元又は単元の組合せを指す。 | ||
(二) | 権利範囲確定の解釈原則 | (二) | 解釈原則 |
5. | 特許権有効の原則。原告が保護を求めるものは、特許法に依って保護される有効な特許権でなければならない。保護期間が既に過ぎたり、中国特許局によって取消されたり、特許審判委員会によって無効宣告されたり、又は特許権者によって既に放棄された発明創造であってはならない。 | 6. |
特許権有効の原則 権利者が主張する特許権が無効にさせられる前において、その権利は保護されるべきであり、当該特許権が特許法における権利付与要件を満たさず、無効にすべきことを理由にする裁判をしてはならない。 特許登録簿謄本、又は特許証書及び当年特許年金を納付した領収書は、特許権の有効性を証明する証拠とすることができる。 |
6. |
クレームの内容を基準にする特許権の権利範囲確定原則 明細書及び図面でクレームを解釈する場合、折衷解釈主義を採用しなければならない。周辺限定主義、すなわち特許の権利範囲とクレームの文言の記載とが完全に一致し、明細書及び図面はクレーム中の不明瞭なところを明確にするためだけに用いることは避けなればならない。中心限定主義、すなわちクレームは発明全体の中核を確定するだけのものであって、その権利範囲は、技術専門家が明細書及び図面を読んだ後、特許権者が保護を要求していると考える範囲にまで拡大することは、避けなければならない。折衷解釈は、上述の二つの極端な解釈原理の中間にあって、特許権者の合理的で正当な保護と公衆の法的安定性とその合理的利益を結びつけるものでなければならない。 |
7. |
折衷解釈の原則 クレームを解釈する際に、クレームに記載された技術内容に準じるものとし、明細書及び図面、従来の技術、特許が従来の技術のために果たした貢献などの要素に基づき合理的に特許権の権利範囲を確定すべきである。特許権の権利範囲を特許請求の範囲における字面意味に拘束してはできず、特許権の権利範囲を当業者が特許出願日前に明細書及び図面を読んだ後、創造的な労働を通じてこそ、想到可能な内容までに拡大することもできない。 |
7. | クレームに記載された技術内容をひとつの完全な技術案とみなす原則 すなわち、特許の独立クレームに記載された全ての技術的特徴で表現された技術内容をひとつの全体と見なさなければならない。前文部分に記載された技術的特徴と特徴部分に記載された技術的特徴は、特許の権利範囲の限定に対して同一の役目を有する。 | 8. | 全体(全部の技術的特徴)解釈の原則 クレームに記載された全部の技術的特徴が表す技術内容を全体の技術案として取り扱い、前文部分に記載された技術的特徴と特徴部分に記載された技術的特徴は、権利範囲の限定に対して同一の役目を有する。 |
8. | クレームを解釈する場合、クレームに記載された技術内容を準じるものとし、クレームの文字又は言葉づかいに準じない原則 その技術内容は、明細書及び図面を参考・検討し、発明又は実用新案の技術分野、出願日前の公知技術、技術解決案、役目及び効果を全面的に考慮した上で確定されなければならない。 | ||
9. | 特許のクレームを解釈する際に公平原則に従うべきである。特許権者が従来技術のために果たした貢献を十分に考慮し、特許の権利範囲を合理的に確定し、特許権者の権益を保護すると共に、公衆の利益を侵害してはならない。公知技術を特許の権利範囲に解釈してはならず、特許技術を公知技術に解釈してもならない。 | ||
(三) | 権利範囲確定の解釈方法 | (三) | 解釈方法 |
10. | 特許の権利範囲を確定する際に、国家の権利付与機関が最終的に公告した特許請求の範囲本文又は既に法的効力が生じた審判決定、取消決定、無効決定で確定した特許請求の範囲本文に準じるものとする。 | 9 | 特許の権利範囲を確定する際に、国務院特許行政部門が公告により権利付与した特許本文又は既に法的効力が生じた特許審判請求審決、無効請求審決及び権利付与・確定行政判決書で確定した特許クレームに準じるものとする。数部の特許クレーム本文がある際には最終有効な本文に準じるものとする。 |
10. |
クレームを解釈する際に、当業者の視点で行うべきである。当業者は、当該技術分野の技術者とも言うが、仮設の「者」であり、当「者」は、出願日前に当該技術分野のすべての一般技術知識を知得し、当該分野におけるすべての従来技術を熟知し、かつ、上記の出願日前に常例の実験手段を運用できる能力を有する。 いわゆる当業者は、具体的なある個人又は一類の者を指すのではなく、文化程度、職務、級別などの具体的な基準を参照・援用しかねる。当事者は、当業者がある一般技術知識を知得し、かつ、ある常例実験手段を運用できる能力を知得しているか否かについて争議が生じた場合は、挙証して証明すべきである。 |
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11. | クレームに対する解釈には、明かし、補足と特定状況における補正という3種類の形式を含む。すなわち、クレームにおける技術的特徴が表す技術内容が不明であった時に当該技術的特徴の意味を明かし、クレームにおける技術的特徴が理解上の欠陥を有した時に当該技術的特徴の不足を補足し、クレームにおける技術的特徴の間に矛盾などの特定状況があった時に当該技術的特徴の意味を補正することである。 | ||
11. | 特許明細書及び図面は、クレームの文言で限定される技術案の権利範囲に対して公平な拡大又は縮小解釈を行うのに用いることができる。すなわち、必要技術的特徴と均等な特徴を特許の権利範囲に含めて解釈し、又は明細書及び図面により幾つかの必要技術的特徴を限定することができる。 | 12. | 特許明細書及び図面は、クレームの文言で限定される技術案の権利範囲に対して合理的な解釈を行なうのに用いることができる。すなわち、クレームに記載された技術的特徴と均等な特徴を特許の権利範囲に含めて解釈し、又は明細書及び図面により幾つかの技術的特徴を定義することができる。 |
13. |
クレームを解釈する際に、明細書及び図面、特許請求の範囲における関連クレーム、特許審査書類及び発効法律文書に記載された内容を用いることができる。 前記の方法により依然としてクレームの意味を確定できない場合は、辞書類、教科書などの公知文献及び当業者の通常理解に結合して解釈することができる。 本意見でいう特許審査書類は、特許審査、審判、無効過程において、国務院特許行政部門及び特許審判委員会が発行した審査意見通知書、特許出願人、特許権者が提出した書面回答、口頭審理記録表、照会記録などを指している。 本意見でいう発効法律文書は、すでに法的効力を生じた特許審判請求審決、特許無効請求審決及び関連権利付与・確定行政判決書を指す。 |
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12. |
特許の独立クレームが特許明細書と不一致し、又は相互矛盾した場合、当該特許は特許法第26条第4項の規定を満たせず、当事者は特許無効審判手続きにより解決しなければならない。 当事者が無効手続きによる解決を望まない場合、裁判所は、特許権有効及びクレーム優先の原則で、クレームが限定する権利範囲に準じるものとし、明細書又は図面で開示された内容で、クレームに記載された技術内容を「是正」してはならない。 |
14. |
クレームが明細書と不一致し、又は相互矛盾した場合、当該特許は「特許法」第26条第4項の規定を満たせず、当事者に特許無効審判手続を通じて解決することを告知する。 当事者が特許無効審判手続きを開始した場合は、具体的な事案筋に基づいて訴訟を中止するかどうかを確定することができる。当事者が特許無効審判手続きによる解決を望まず、又は合理的期限内に特許権無効審判請求を提起しなかった場合、特許権の有効及びクレーム優先の原則に基づき、クレームに限定する権利範囲に準じるものとする。ただし、当業者が特許請求の範囲と明細書及び図面を読むことにより、保護を求める技術案の実現に対して具体的かつ確定できる唯一の解釈を得られた場合は、当該解釈に基づき、クレームにおける表現上の誤りを明かし、若しくは補正すべきである。 |
13. | 特許の独立クレームに記載された技術的特徴に不明な部分があった場合は、従属クレーム又は明細書及び図面に結合して、独立クレームに対して明瞭な解釈を出すことができる。 | ||
14. |
仮に従属クレームに本来独立クレームに記載すべき発明技術的課題の解決に不可欠な技術的特徴(当該技術的特徴が欠如した場合、独立クレームに記載された技術案は不完全なものとなる)が含んでいる場合、当該特許は特許法実施細則第21条第2項の規定を満たさない。当事者は特許無効審判手続きを通じて解決することができる。 当事者が無効審判手続きによる解決を望まない場合、裁判所は、当事者請求の原則に基づき、特許の権利範囲を確定する際に、相応する従属クレームにより特許の権利範囲を限定することができる。 |
15. | 従属クレームに独立クレームに記載すべき発明技術課題の解決に不可欠な必要技術的特徴(当該技術的特徴が欠如した場合、独立クレームに記載された技術案は発明の目的を実現できなくなる)が含んでいる場合、当該特許は「特許法実施細則」第20条第2項の規定を満たさず、当事者に特許無効審判手続を通じて解決することを告知する。当事者が無効審判手続きを開始した場合は、具体的な事案筋に基づいて訴訟を中止するかどうかかを確定することができる。 |
15. |
特許明細書及び図面のみに記載され、特許請求の範囲に反映されていない技術案は、特許の権利範囲に含めることができない。すなわち、明細書及び図面を根拠にして、特許権の権利範囲を確定することはできない。 (1)仮にある技術案が特許明細書で十分に開示され、具体的な記載と表現がされているものの、特許請求の範囲に記載されていない場合、当該技術案は特許の権利範囲に含まれていないと認定すべきであり、クレームを解釈する際にそれを特許の権利範囲に含めることは認めない。 (2)仮に特許請求の範囲に記載された技術内容と特許明細書における記載又は表現が同一でない場合、特許請求の範囲における記載を優先にすべきであり、明細書及び図面に記載された内容により特許請求の範囲に記載された内容を「是正」することはできない。 (3)仮に特許明細書及び図面に開示された技術内容の範囲が広く、特許請求の範囲で求めた権利範囲が狭い場合、原則的には、クレームの技術内容により特許の権利範囲を確定するしかない。 |
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16. |
クレームにおいて、機能又は効果により記載した機能性の技術的特徴に対し、明細書と図面に記載された当該機能又は効果の具体的実施方式及びその均等な実施方式に結合して、当該技術的特徴の内容を確定すべきである。 機能性の技術的特徴とは、クレームにおける製品の部品又は部品の間の配合関係又は方法のステップに対し、それらが発明創造の中で果たした役目、機能又は生じられる効果を採用して限定した技術的特徴を指す。 次に掲げる情状は、通常、機能性の技術的特徴と認定しかねる。 1) 機能性又は効果的な文言で表現し、かつ、すでに当業者が普遍的に知得している技術用語類別の技術的特徴――たとえば、導体、散熱装置、粘着剤、拡大機、変速機、濾波器など 2) 機能性又は効果的な文言による表現を使用したものの、同時に相応の構造、原料、ステップなどの特徴を用いて記載した技術的特徴。 |
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17. | 機能性の技術的特徴の内容を確定する際に、機能性の技術的特徴を、明細書において対応し、記載された機能、効果を実現するための必須構造、ステップの特徴に限定すべきである。 | ||
18. | 方法特許のクレームでステップ順序に対して明確に限定した場合、ステップ自体及びステップ間の順序は、いずれも特許権の権利範囲に対して限定の役目を果たすべきである。方法特許のクレームでステップ順序に対して明確に限定していない場合、これを理由にクレームに対するステップ順序の限定役目を考慮しなくてはならず、明細書と図面、クレームに記載された全体の技術案、各ステップ間の論理関係及び審査書類を結合して、当業者の視点で各ステップが特定の順序に基づいて実施すべきか否かを確定しなければならない。 | ||
19. | 方法特徴で限定する製品クレームにおいて、方法特徴は、特許の権利範囲に対して限定の役目を果たす。 | ||
53. | 非実用新案の技術的特徴を備えた実用新案のクレームについては、クレームの文言に従ってその実用新案特許の権利範囲を厳格に限定しなければならず、当該クレームにおける非実用新案の技術的特徴に対し、非必要技術的特徴と認定してはならない。すなわち、被疑侵害品(製品又は方法)が実用新案特許の独立クレームにおける非実用新案の技術的特徴を欠けている場合は、特許権侵害を構成しない。 | 20. |
実用新案特許のクレームに非形状、非構造の技術的特徴を含んでいる場合、当該技術特徴は、実用新案特許の権利範囲を限定するために用いると同時に、当該技術的特徴の文言意味に従って解釈する。 非形状、非構造の技術的特徴とは、実用新案特許のレームに記載され、製品の形状、構造又はその結合などに該当しない技術的特徴、たとえば、用途、製造プロセス、使用方法、原料成分(成分、比例)などを指す |
16. | 仮に特許の独立クレーム及びその従属クレームに、発明又は実用新案の技術的課題を解決するための必要技術的特徴がなく、特許明細書又は図面のみで当該必要技術的特徴が開示されている場合、その特許は特許法実施細則第21条第2項の規定を満たさず、当事者は特許無効審判手続きで解決しなければならない。 | ||
21. |
製品の発明又は実用新案特許のクレームに応用分野、用途を限定していない場合、応用分野、用途は、通常、特許の権利範囲に対して限定の役目を果たさない。 製品の発明又は実用新案特許のクレームに応用分野、用途を限定した場合、応用分野、用途はクレームにおける権利範囲に対して限定の役目を果たす技術的特徴とすべきである。ただし、仮に当該技術的特徴が保護を求める構造と/或いは組合せ自体に影響を与えず、当該技術案が権利付与されることに対しても実質性の役目を果たさず、製品又は設備の用途若しくは使用方式のみを記載した場合は、特許の権利範囲に対して限定の役目を果たさない。 |
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22. |
クレームに記入した使用環境特徴は必要技術的特徴に該当し、特許権の権利範囲に対して限定の役目を果たす。 使用環境特徴とは、クレームにおいて発明が使用した背景又は条件を記載するために用いた技術的特徴のことを指す。 |
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23. | 被疑侵害技術案が製品のクレームに記載した使用環境に適用できる場合は、被疑侵害技術案がクレームに記載された使用環境特徴を有すると認定すべきであり、被疑侵害技術案が実際に当該環境特徴を使用したことを前提としない。 | ||
24. |
明細書における技術用語の解釈と当該技術用語の通用意味が相異する場合は、明細書の解釈に準じる。 被疑侵害行為の発生した際にその技術用語がすでにその他の意味を生じた場合は、特許出願日時点における意味を採用して当該技術用語を解釈すべきである。 |
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25. | 同一技術用語がクレームと明細書で表される意味は一致しなければならず、不一致の場合は特許請求の範囲に準じるものとする。 | ||
17. | 特許のクレームに図面の符号を引用した際には、図面に表されている具体的構造によりクレームにおける技術的特徴を限定してはならない。特許の権利範囲も明細書に開示された具体的実施例に完全に制限されてはならない。 | 26. |
特許のクレームに図面の符号を引用した際には、図面における図面符号が表している具体的構造によりクレームにおける技術的特徴を限定してはならない。 |
27. |
特許権の権利範囲は、明細書に開示された具体的実施方式の制限を受けるべきではないものの、次の状況は除くものとする。 1)クレームが実質上正に実施方式に記載された技術案である場合 2)クレームに機能性の技術的特徴を含んでいる場合。 |
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18. | 要約は特許の権利範囲を確定するのに用いてはならず、また特許のクレームを解釈するのに用いてもならない。 | 28. | 要約の役目は、技術情報を提供して、検索する公衆の便宜を図ることであり、特許の権利範囲を確定するために用いてはならず、クレームを解釈するために用いてもならない。 |
19. | 特許出願包袋書類及び不服・取消・無効審判包袋書類は、特許の権利範囲を解釈する時に、特許権者の反言を禁ずるのに用いることができる。 | ||
20. |
特許出願包袋及び不服・取消・無効審判包袋は、特許文書における印刷ミスを補正するのに用いることができる。特許文書における印刷ミスが特許の権利範囲確定に影響を与える 時、特許包袋の原文書に準じなければならない。 |
29. |
特許文書における印刷ミスが特許の権利範囲確定に影響を与える時に、特許審査包袋に基づいて補正することができる。 明らかな文法上のミス、文字のミスなどに対して、クレーム又は明細書の全般及び前後により唯一の理解ができた時は、実際の状況に基づいて解釈をしなければならない。 |
21. |
特許のクレーム又は明細書に明らかな誤記がある時は、実際 の状況に基づいて正確に解釈をしなければならない。 |
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二、 | 発明・実用新案特許権侵害の判断 | 二、 | 発明・実用新案特許権侵害の判断 |
(一) | 侵害判断の比較 | (一) | 技術的特徴の対比方法 |
22. | 権利侵害を判断するには、クレームに記載された技術案の全部の必要技術的特徴と被疑侵害品(製品又は方法)の全部の技術的特徴とを、逐一に対応比較しなければならない。 | 30. | 被疑侵害技術案が特許の権利範囲に入るか否かを判定する際に、権利者が主張するクレームに記載された全部の技術的特徴を審査しなければならず、かつ、クレームに記載された全部の技術的特徴と被疑侵害技術案で対応する全部の技術的特徴とを逐一に比較しなければならない。 |
31. | 被疑侵害技術案がクレームに記載された全部の技術的特徴と同一又は均等な技術的特徴を含んでいる場合は、それが特許の権利範囲に入っていると認定すべきであり、被疑侵害技術案における技術的特徴とクレームに記載された全部の技術的特徴とを比べ、クレームに記載された1つ又は複数の技術的特徴が欠如し、又は1つ又は1つ以上の技術的特徴が相異し、均等でもない場合、被疑侵害技術案は特許の権利範囲に入っていないと認定しなければならない。 | ||
23. | 権利侵害を判定する際に、通常、特許製品と侵害物品とを直接侵害の比較をしない。特許製品は関連技術的特徴と技術案を理解するための助けとして用いることができる。 | 32. | 権利侵害を判定する際に、特許製品と被疑侵害技術案とを直接比較しないものの、特許製品は関連技術的特徴と技術案を理解するための助けとして用いることができる。 |
24. | 原告、被告の双方当事者がいずれも特許権を有する場合、通常、双方の特許製品又は双方の特許クレームについて、権利侵害の対比を行うことはできない。 | 33. | 権利者、被疑侵害者がいずれも特許権を有する場合、通常、双方の特許製品又は双方の特許クレームを対比することはできない。 |
25. | 製品の発明又は実用新案に対して特許権侵害の判定対比を行う際に、通常、侵害物と特許技術が同一の応用分野であるか否かについては考慮しない。 | 34. | 製品の発明又は実用新案に対して特許権侵害の判定対比を行う際に、通常、被疑侵害技術案と特許技術が同一の技術分野であるか否かは考慮しない。 |
(二) | オールエレメント原則の適用 | (二) | 同一の権利侵害 |
26. | オールエレメントとは、被疑侵害品(製品又は方法)が特許クレームに記載された技術案の必要技術的特徴を全て備えていること、被疑侵害品( 製品又は方法) と特許の独立クレームに記載された全ての必要技術的特徴が一対一で同一であることを指す。 | 35. |
同一侵害、すなわち、文言の意味上の権利侵害とは、被疑侵害技術案が特許クレームに記載された全部の技術的特徴と同一である対応技術的特徴を含んでいることを指す。 |
27. | オールエレメント原則とは、全ての技術的特徴の包含原則又は文言侵害の原則である。すなわち、被疑侵害品(製品又は方法)の技術的特徴が特許クレームに記載された全ての必要技術的特徴を包含していた際には、特許の権利範囲に入る。 | ||
28. | 特許の独立クレームに記載された必要技術的特徴で採用したのは上位概念の特徴であるものの、被疑侵害品(製品又は方法)で採用したのが相応の下位概念の特徴であった場合、被疑侵害品(製品又は方法)は特許の権利範囲に入る。 | 36. | 特許クレームに記載された技術的特徴は上位概念の特徴を採用したものの、被疑侵害技術案における相応の技術的特徴が相応の下位概念の特徴を採用した場合、被疑侵害技術案は特許の権利範囲に入る。 |
29. | 被疑侵害品(製品又は方法)が特許クレームの全ての必要技術的特徴を利用することを基にし、更に新たな技術的特徴を追加した時は、依然として特許の権利範囲に入る。この場合、被疑侵害品(製品又は方法)の技術的効果と特許技術が同一である否かは考慮しない。 | 37. |
被疑侵害技術案がクレームにおける全部の技術的特徴を包含することを基にし、更に新たな技術的特徴を追加した時は、依然として特許の権利範囲に入る。 ただし、仮にクレームにおける文言表現ですでに追加された新たな技術的特徴を排除した場合は、被疑侵害技術案が当該クレームの権利範囲に入ると認定してはならない。 |
38. | 組合せ物のクローズドクレームに対し、被疑侵害技術案がクレームにおける全部の技術的特徴を包含することを基にし、更に新たな技術的特徴を追加した場合は特許権の権利範囲に入らない。ただし、被疑侵害技術案において新たに追加した技術的特徴が組合せ物の性質と技術成果に対して実質性の影響を与えず、又は当該特徴が不可回避の通常数量の雑質に該当する状況は除く。 | ||
39. | 機能性の特徴を包含するクレームに対し、仮に被疑侵害技術案で当該特徴と同一の機能を実現したのみならず、また、当該機能を実現する構造、ステップと特許請求の範囲に記載された具体的実施方式の確定する構造、ステップとが同一である場合、当該侵害技術案は特許の権利範囲に入る。 | ||
30. |
被疑侵害品(製品又は方法)が先行特許技術に対して改良された技術案であり、かつ、特許権を付与された場合は、従属特許に該当する。先行特許権者の許可を得ずに、従属特許を実施することも先行特許権の権利範囲を含むことになる。 |
40. |
後行して特許権を付与された発明又は実用新案が先行発明又は実用新案特許の改良であり、後行特許のある1つのクレームに先行特許のある1つのクレームに記載された全部の技術的特徴を記載し、更にその他の技術的特徴を追加した場合は、後行特許は従属特許に属する。従属特許を実施することは先行特許の権利範囲に入る。 次の状況は従属特許に該当する。 1)後行製品特許のクレームが先行製品特許のクレームにおける全部の技術的特徴を含むことを基にし、新たな技術的特徴を追加した場合 2)元来製品特許のクレームを基にし、元来、かつて発見されていない新たな用途を発見した場合 3)元来の方法特許のクレームを基にし、新たな技術的特長を追加した場合。 |
(三) | 均等原則の適用 | (三) | 均等侵害 |
31. | 特許権侵害の判定において、オールエレメント原則を適用して被疑侵害品(製品又は方法)が特許権を侵害しないと判定した状況の下では、均等原則論を適用して侵害判定を行わなければならない。 | 41. | 特許権侵害の判定において、同一権利侵害が成り立たない状況の下では、均等侵害を構成するか否かを判断しなければならない。 |
32. | 均等原則とは、被疑侵害品(製品又は方法)の1つ又は1つ以上の技術的特徴が特許の独立クレームで保護する技術的特徴に比べ、文言上では異なるものの、分析を経て両者は均等な技術的特徴に該当すると認定できることを指す。この場合、被疑侵害品(製品又は方法)が特許権の権利範囲に入ると認定しなければならない。 | 42. |
均等侵害とは、被疑侵害技術案の1つ又は1つ以上の技術的特徴とクレームにおける相応の技術的特徴が文言上では相異するものの、均等な特徴に該当し、被疑侵害技術案が特許の権利範囲に入ると認定しなければならないことを指す。 分析を経て両者が均等な技術的特徴であると認定できることを指す。かかる場合、被疑侵害製品又は方法は特許の権利範囲に入る認定しなければならない。 |
33. | 特許の権利範囲には、特許の独立クレームにおける必要技術的特徴と均等な技術的特徴により確定された範囲を含んでいる。 | ||
34. |
均等な特徴は均等物ともいう。被疑侵害品(製品又は方法)で、同時に以下の2つの要件を満す技術的特徴は、特許クレームにおける相応の技術的特徴の均等物である。 1) 被疑侵害品の技術的特徴と特許クレームにおける相応の技術的特徴とを比べ、基本的に同一の手段を用いて、基本的に同一の機能を実現し、基本的に同一の効果に達する。 2)当該特許が属する分野の当業者にとって、クレームと明細書を読むことにより創造性の努力をしなくても、想到することができる技術的特徴。 |
43. |
均等特徴とは、クレームに記載された技術的特徴について、基本的に同一の手段を用いて、基本的に同一の機能を実現し、基本的に同一の効果に達し、かつ、当業者が創造性の努力をしなくても、想到することができる技術的特徴を指す。 |
44. |
基本的に同一の手段とは、通常、被疑侵害行為の発生日前に特許の属する技術分野で通用置換する技術的特徴及び工作原理と基本的に同一である技術的特徴のことを指す。 出願日以降で生じた工作原理が特許の技術的特徴と相異する技術的特徴は、被疑侵害行為の発生日の当業者が容易に想到できる置換特徴に該当した場合は、基本的に同一の手段と認定することができる。 |
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45. | 基本的に同一の機能とは、被疑侵害技術案における置換手段が果たす役目がクレームの対応技術的特徴が特許技術案において果たす役目と基本的に同一であることを指す。 | ||
46. |
基本的に同一の効果とは、通常、被疑侵害技術案における置換手段で達する効果がクレームの対応技術的特徴の技術的効果と実質的相異を有しないことを指す。 被疑侵害技術案における置換手段が特許クレームの対応技術的特徴に相対して技術的効果において明らかな向上又は低下に該当しない場合は、実質的相異を有しないと認定すべきである。 |
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47. | 創造性のある労働を経る必要が無しに、すなわち、当業者にとって、被疑侵害技術案における置換手段とクレームの対応技術的特徴との相互置換が明らかなことである。 | ||
48. | 手段、機能、効果及び創造性のある労働の有無については、その順序に基づいて判断すべきである。 | ||
35. | 均等物は具体的な技術的特徴の間で相互置換できるものであり、技術案全般の間での置換ではない。 | 49. | 均等特徴の置換は具体的な対応の技術的特徴の間での相互置換であり、技術案全般の間での相互置換ではない。 |
50. | 均等特徴は、クレームにおける若干の技術的特徴が被疑侵害技術案における一つの技術的特徴に対応することができ、かつ、クレームにおける1つの技術的特徴が被疑侵害技術案における若干の技術的特徴の組み合わせに対応することもできる。 | ||
36. | 均等物の代替には、特許のクレームにおける区別技術的特徴に対する置換が含まれ、前文部分の技術的特徴の置換も含まれる。 | 51. | 均等特徴の置換には、クレームにおける区別技術的特徴に対する置換も含み、クレームの前文における技術的特徴の置換も含む。 |
37. | 被疑侵害品(製品又は方法)における技術的特徴と特許の独立クレームにおける技術的特徴とが均等であるか否かの判定は、侵害行為が生じた時点を境目とすべきである。 | 52. | 被疑侵害技術案における技術的特徴とクレームにおける技術的特徴が均等である否かを判定する時点は、被疑侵害行為の発生日を境目とすべきである。 |
53. | クレームと被疑侵害技術案に複数の均等特徴があって、仮に当該複数均等特徴が被疑侵害技術案にクレームの技術考案と相異する技術案を形成させ、又は被疑侵害技術案が予期できなかった技術効果を得た場合は、通常、均等侵害を構成するとの認定はしかねる。 | ||
54. | 機能性の特徴を含むクレームについて、仮に被疑侵害技術案の相応技術的特徴が同一の機能を実現しただけではなく、当該機能の構造、ステップと特許明細書に記載された具体的実施方式で確定された構造、ステップなどとが均等であった場合は、均等の特徴を構成すると認定すべきである。 | ||
55. |
数値範囲を含む特許技術案について、仮に被疑侵害技術案で使用した数値とクレームに記載された相応数値が相異した場合は、均等を構成すると認定すべきではない。 ただし、特許権者が被疑侵害技術案で使用した数値が技術効果上、クレームに記載された数値と実質的相異がないことを証明できた場合は、均等を構成すると認定すべきである。 |
||
56. |
明細書又は図面のみに記載され、クレームで概括しなかった技術案について、特許権者が当該技術案を放棄したことと見なすべきである。特許権者が均等侵害を理由に特許の権利範囲に当該技術案を含んでいると主張した場合は支持しない。 被疑侵害技術案が明細書において明確に排除された技術案に該当し、特許権者は均等侵害を主張した場合は支持しない。 |
||
38. | 均等原則を適用して権利侵害を判断する際に、被疑侵害品(製品又は方法)における具体的な技術的特徴が特許の独立クレームにおける相応の必要技術的特徴と均等であるか否かのみに適用し、被疑侵害品(製品又は方法)の全体の技術案と独立クレームに限定されていた技術案が均等であるか否かには適用しない。 | ||
39. | 均等侵害の判断をする際には、当該特許が属する分野の当業者の専門知識レベルに準じるべきであり、所属する分野の高級技術専門家の専門知識レベルに準じてはならない。 | ||
40. | 均等侵害の判断をする際に、先駆性の重大な発明特許については、均等の権利範囲を適当に広く確定してもよい。組合せの発明又は選択性の発明については、均等の権利範囲を適切に厳しく確定してもよい。 | ||
42. |
特許権侵害判断において、下記の状況には均等原則を適用して被疑侵害品(製品又は方法)が特許の権利範囲に含まれるとの認定をしてはならない。 1)被疑侵害の技術案が出願日前の公知技術に該当する場合 2)被疑侵害の技術案が抵触出願又は先願特許に該当する場合 3)被疑侵害品における技術的特徴が、特許権者が特許出願、権利付与審査及び特許権効力の維持過程で明確に特許保護を排除した技術内容に該当する場合。 |
||
(四) | 禁反言原則の適用 | (四) | |
43. | 禁反言の原則とは、特許の審査、取消又は無効審判手続きにおいて、特許権者が、その特許が新規性と進歩性を有することを確定するために、書面による声明又は特許書類を補正する方式により、特許クレームにおける権利範囲に対し、規制の承諾又は一部の権利範囲の放棄をし、かつ、それにより特許権が付与されたものの、特許権侵害訴訟において、裁判所が均等原則を適用して特許の権利範囲を確定する際には、特許権者が既に限定、排除、又は放棄した内容を、改めて特許の権利範囲に含めることを禁じるべきことを指す。 | 57. |
被疑侵害技術案における技術的特徴がクレームにおける技術的特徴と均等であるか否かを判断する際に、被疑侵害者は、特許権者が当該均等特徴をすでに放棄したので、禁反言を適用すべきことを理由にして抗弁することができる。 禁反言の原則とは、特許の権利化又は無効審判手続において、特許出願人又は特許権者がクレーム、明細書の補正又は意見陳述の方式により、クレームにおける権利範囲に対して規制し、又は部分的に放棄したものの、特許権侵害訴訟において、均等侵害を構成するか否かを確定する際には、特許出願人又は特許権者がすでに放棄した内容を改めて特許の権利範囲に入れることは禁じるべきことを指す。 |
58. |
特許出願人又は特許権者が規制し、又は部分的に放棄した権利範囲は、新規性又は進歩性の欠如、必要技術的特徴の欠如、クレームに対する明細書の支持欠如、及び明細書の開示不十分などの権利付与が得られない実質的欠陥を克服するためのニーズに基づくものである。 特許出願人又は特許権者がその特許書類を補正した原因を説明できなかった場合は、その補正が権利付与獲得の実質性欠陥を克服するためであると推定することができる。 |
||
44. | 均等原則と禁反言の原則が適用上の抵触を生じた際に、すなわち、原告は均等原則を適用して被告がその特許権を侵害したと判定することを主張したものの、被告は禁反言の原則を適用して自己が特許権侵害を構成しないと判定することを主張した場合は、優先的に禁反言の原則を適用すべきである。 | ||
45. |
禁反言原則を適用する際には、以下の要件を満たすべきである。 1) 特許権者が関連技術的特徴に対する規制の承諾又は放棄は必ず明示すべきであり、かつ、すでに特許包袋に記録されていなければならない。 2) 規制を承諾し、又は保護を放棄した技術内容は、必ず特許権の付与又は特許権有効性の維持に対して実質的役目を果たしたものでなければならない。 |
59. |
特許権者がクレームにおける権利範囲に対する部分的放棄は必ず明示であるべきであり、かつ、すでに書面の陳述、特許審査包袋、発効の法律文書に記録されていなければならない。 |
46. | 禁反言原則の適用は被告が請求を提出することを前提とし、かつ、被告より原告の反言に係る証拠を提出するものとする。 | 60. |
禁反言原則の適用は、被疑侵害者が請求を提出することを前提とし、かつ、被被侵害者より、特許出願人又は特許権者の反言に関する証拠を提出する。 裁判所が法律に従い特許権者の反言が記載されている証拠を取得した情況下で、既に究明した事実に基づき、禁反言を適用してクレームにおける権利範囲に対し必要な規制をし、特許の権利範囲を合理的に確定することができる。 |
(五) | 多余指定原則の適用 第47~55条の削除 | ||
三、 | 意匠特許権侵害の判定 | 三、 | 意匠特許権の権利範囲の確定 |
(一) | 意匠特許の権利範囲の確定 | ||
56. | 意匠特許の権利範囲は、図面又は写真で示した当該特許製品の意匠に準じる。意匠に対する簡単な説明は、当該意匠の権利範囲を理解するのに用いることができる。 | 61. | 意匠権侵害紛争事件を審理する際に、先ず意匠権の権利範囲を確定すべきである。意匠特許の権利範囲は、図面又は写真に示した当該特許製品の意匠に準じ、意匠の簡単な説明及び設計要点、特許権者が無効審判手続き及びその訴訟手続き中における意見陳述、国務院特許行政部門に応じて特許出願手続き中に提出したサンプル又は模型などは、意匠の権利範囲を解釈するのに用いることができる。 |
62. | 意匠権付与公告本文に設計要点がなかった場合、特許権者は書面による資料を提出することにより意匠の独創部位及びその設計内容を説明することができる。 | ||
63. | 当事者が提出した特許製品の意匠発展変化を証明する関連証拠は、権利範囲の確定時に考慮することができる。 | ||
64. |
意匠の権利範囲を確定する際に、使用状態参考図と変化状態製品の使用状態見取図を区別すべきである。 使用状態参考図は、国務院特許行政部門が審査過程において、簡単な説明に意匠製品の使用方法、用途又は機能を明記していない新たに開発した製品、又は部文的な使用方法、用途又は機能が不明確な製品について分類しかねる場合、当該製品を正確に分類するために、特許出願人に対して提供を要求する図面である。使用状態参考図は、意匠の権利範囲を確定するのに用いることができないものの、製品の類別を確定する要素とすることはできる。 変化状態製品の使用状態見取図は、当該製品の意匠の権利範囲を確定する根拠とすべきである。 |
||
57. |
意匠特許権者は、侵害訴訟でその意匠の「設計要点図」を提出し、その意匠が保護する独創部分及び内容を説明しなければならない。特許権者が意匠特許の出願時に既に中国特許局に「設計要点図」を提出した場合、特許包袋は意匠の設計要点を認定する証拠とすることができる。 |
||
59. | 意匠特許権が色彩の保護を請求した場合、保護を請求する色彩を意匠特許権の権利範囲を限定する要素の1つとしなければならない。すなわち、侵害判定において、その意匠に含まれる形状、模様、色彩及びこれらの組合せと被疑侵害品の形状、模様、色彩及びそれらの組合せを逐一対比しなければならない。 | 65. |
意匠特許権が色彩の保護を請求した場合、保護を請求する色彩を意匠の権利範囲を確定する要素の1つとしなければならない。すなわち、侵害判定において、その意匠に含まれている形状、模様、色彩及びこれらの組合せと被疑侵害製品の相応する形状、模様、色彩及びそれらの組合せを総合的に対比しなければならない。 |
58 | 意匠特許権が色彩の保護を請求した場合、権利者は意匠の権利範囲を確定するために、中国特許局が認可した関連証拠を提出しなければならない。必要に応じて、裁判所は中国特許局の包袋における色彩内容と照合しなければならない。 | 66. |
意匠権が色彩の保護を請求した場合、特許権者は、意匠の権利範囲を確定するために、国務院特許行政部門が発行し、又は認可した関連証拠を提出しなければならない。必要に応じては、国務院特許行政部門の特許審査包袋における色彩と照合しなければならない。 |
67. | 全体の視覚効果に影響を与えない製品の大きさ、原料、内部構造は、意匠の権利範囲以外に排除すべきである。 | ||
68. |
類似意匠特許権の権利範囲は、各独立意匠から分別して確定する。基本設計とその他の類似設計はいずれも意匠特許権の権利範囲を確定するための根拠とすることができる。 類似意匠とは、同一製品の複数の類似意匠について1件の意匠特許出願を提出し、かつ、権利付与される意匠特許のことを指す。複数の類似意匠において、1つの基本設計を指定すべきである。類似の基本設計とある類似意匠の間に同一又は類似の設計特徴を有し、かつ、両者の間における相異点が局部における微細な変化、当該製品の慣例設計、設計単元の重複排列、又は色彩の要素のみよる変化などにある情状である。 |
||
60. | 意匠特許権の権利範囲は、当該意匠特許の出願日又は優先権日前に既にあった公知設計内容に及んではならない。 | ||
61. | 意匠特許権の権利範囲は、機能、効果の役目しか果たせず、消費者が通常の使用において見えないか又は製品に対して美感の役目を果たさない設計内容を除かなければならない。 | ||
69. |
セット製品の全体意匠と当該セット製品を構成する各設計がいずれもすでに当該意匠特許包袋における図面又は写真に示された場合、その権利範囲は、当該セット製品を構成する各製品の意匠又は当該セット製品の全体意匠により確定する。 セット製品の設計とは、同一類別に用いられ、かつ、セットで販売若しくは使用する製品の2つ以上の意匠であり、1件の意匠出願として提出し、かつ、権利付与される意匠特許のことを指す。 |
||
(二) | 意匠権侵害の判定 | 四、 | 意匠特許権侵害の判断 |
70. | 意匠製品と同一又は類似する種類の製品に権利付与された意匠と同一又は類似する意匠を採用した場合、被疑侵害意匠が意匠特許の権利範囲に入ると認定すべきである。 | ||
71. | 意匠権侵害判定を行なう際に、特許権利付与公告に当該意匠を示す図面又は写真と被疑侵害意匠又は被疑侵害意匠を体現する図面又は写真を対比すべきであり、特許権者が提出した意匠特許製品の実物と被疑侵害意匠を対比してはならない。ただし、当該特許製品の実物と特許公告文献に示された図面又は写真における意匠製品が完全に一致し、又は国務院特許行政部門がより正確に図面又は写真における内容を理解するために特許権者に対する要求に応じて提出したサンプル又は模型と完全に一致し、かつ各当事者がいずれも異議を有しない場合は除く。 | ||
72. | 意匠権侵害判定を行う際に、通常、一般消費者の視覚により直接観察対比すべきであり、拡大鏡、顕微鏡などのその他工具で比較してはならない。ただし、仮に図面又は写真に示された製品の意匠が特許出願時に拡大された場合は、侵害対比時にも被疑侵害製品に対して相応の拡大対比を行うべきである。 | ||
62. | 意匠特許権の侵害判断において、先に被疑侵害品と特許製品が同類の製品に該当するか否かを審査しなければならない。同類の製品に該当しない場合は、意匠権侵害を構成しない。 | 73. |
意匠権侵害判定を行う際に、先に被疑侵害製品と意匠製品が同一又は類似の製品に該当する否かを審査しなければならない。 |
63. |
意匠特許製品と被疑侵害製品が同類の製品に該当するか否かを審査する際に、意匠分類表を参照し、かつ、商品の販売の客観的な実際状況を考慮したうえ、同類の製品に該当するか否かを認定しなければならない。 |
74. |
意匠製品の用途(使用目的、使用状態)に基づいて製品の種類が同一又は類似するか否かを認定すべきである。 製品の用途を確定する際に、次の順序に基づき、関連要素を参考して総合して確定することができる。意匠の簡単な説明、国際意匠分類表、製品の機能及び製品の販売、実際使用状況などの要素。 仮に意匠製品と被疑侵害意匠製品の用途(使用目的、使用状態)に共通性を有しない場合は、意匠製品と被疑侵害製品は同一又は類似種類の製品に属しない。 |
64. | 同類の製品は、意匠権侵害判断の前提であるものの、特殊な状況においては、類似製品の間の意匠についても侵害判定を行なえることを排除しない。 | ||
75. | 意匠権を侵害したか否かを判定する際に、同一又は類似するか否かを基準にすべきであり、一般消費者に対する混同・誤認を構成するか否かを基準にすべきではない。 | ||
65. | 意匠特許権侵害判断を行う際に、すなわち、被疑侵害品が意匠特許製品と同一又は類似するか否かを判断する際に、一般消費者の審美観察能力を基準にすべきであり、意匠権が該当する分野の専門技術者の審美観察能力を基準にすべきではない。 | 76. |
意匠特許製品に関する一般消費者の知識レベルと認知能力により、意匠が同一又は類似する否かを判断すべきであり、当業者の観察能力を基準にすべきではない。 |
66. |
一般消費者は特別な消費群として、当該意匠特許の同類製品又は類似製品の購入群又は使用群のことを指す。 |
77. |
一般消費者は、仮設した「者」であり、知識レベルと認知能力の両面から定義すべきである。 一般消費者の知識レベルとは、通常、「者」が意匠特許出願日前の同一種類又は類似種類の製品の意匠及びその慣例設計手段に対して常識的に理解していることを指す。 一般消費者の認知能力とは、通常、「者」が意匠製品の間における形状、模様及び色彩上の相異に対して一定の分別力を有するものの、製品の形状、模様及び色彩の微小な変化に対しては注意を払わないことを指す。 意匠製品に対する一般消費者の知識レベルと認知能力に対して定義をする際に、具体的な意匠製品に焦点を合わせ、出願日前における当該意匠製品の設計発展過程を考慮すべきである。 |
78. | 意匠が同一又は類似するか否かを判断する際に、意匠の創作者の主観的な見方に準じるべきではなく、一般消費者の視覚効果に準じるべきである。 | ||
67 | 被疑侵害品と特許製品との意匠を対比する場合、両者が同一の美感を有しているか否かを全体的に観察し、総合的に判断しなければならない。対比のポイントは、特許権者が独創した美感に富む主な設計部分(要部)と被疑侵害品の対応部分であり、被告が原告の独創部分を剽窃、模倣しているか否かを判断しなければならない。 | 79. |
意匠が同一又は類似するか否かを判断する際に、全体観察、総合判断を原則とする。すなわち、権利付与された意匠、被疑侵害設計の可視部分の全部の設計特徴に対して観察し、製品意匠全体の視覚効果に影響を与えられるすべての要素に対して総合的に考慮した後で判断すべきである。 次に掲げる情状は、通常、意匠の全体の視覚効果に対してより影響を与える。 1)製品を正常に使用する際に、容易に直接観察される部位がその他の部位に相対して。 2)従来意匠の設計と区別される意匠の設計特徴が意匠のその他の設計特徴に相対して。 |
69. | 意匠特許権の侵害判断を行う際に、発明又は実用新案権侵害判定で採用する均等原則を適用しない。 | ||
(三) | 同一及び類似の認定 | ||
70. |
特許製品の意匠と被疑侵害品の意匠が同一又は類似するか否かについては、両者を比較しなければならない。 1)仮に両者の形状、模様、色彩等の主な設計部分(要部)が同一である場合、両者は同一意匠と見なすべきである。 2)仮に構成要素における主な設計部分(要部)が同一又は類似し、次位の部分が同一でない場合、類似意匠と見なすべきである。 3)仮に両者の主な設計部分(要部)が非同一又は非類似である場合、非同一又は非類似の意匠と見なすべきである。 |
80. |
被疑侵害意匠と権利付与された意匠が全体の視覚効果において相違点を有しない場合、両者が同一であると認定しなければならず、全体の視覚効果において実質的な相違点を有しない場合、両者が類似すると認定しなければならない。具体的には次の通りである。 1)仮に両者の形状、模様、色彩などの全体における視覚効果が相違しない場合、両者は同一意匠と見なすべきである。 2)仮に両者の形状、模様、色彩などの全体における視覚効果が完全に同一なことではないものの、明らかな相違点を有しない場合、両者は類似意匠と見なすべきである。 3)仮に両者の形状、模様、色彩などの全体における視覚効果が相異し、かつ、明らかな相違点を有する場合、両者は非同一かつ非類似の意匠と見なすべきである。 |
81. |
同一又は類似の判断を行う際に、製品の機能、技術効果により決められる設計特徴は考慮しない。 製品の機能、技術効果により決められる設計特徴とは、製品の機能、技術効果を実現するための有限又は唯一の設計のことを指す。 |
||
82. |
立体製品の意匠に対し、通常、その形状は全体の視覚効果に対してより影響を有し、同一・類似の判断を行う際にその形状をポイントにすべきであるものの、仮にその形状が慣例設計に該当した場合、その模様、色彩は全体の視覚効果に対してより影響を有する。 慣例設計とは、従来設計において一般消費者が熟知し、製品の名称を言えば早く想到できる相応の設計のことを指す。 |
||
83. | 平面製品の意匠に対し、通常、模様、色彩は全体の視覚効果に対してより影響を有し、同一・類似の判断を行う際に模様、色彩をポイントにすべきである。 | ||
71. |
特許製品の意匠と被疑侵害品の大きさ、材質、内部構造及び性能は、両者が同一又は類似するか否かを判定するための根拠にしてはならない。 |
||
72. | 色彩の保護を求める意匠に対し、先ず当該意匠の形状が公知意匠に該当するか否かを確定し、仮に公知であった場合は、その模様、色彩のみに対して判定し、仮に形状、模様、色彩がいずれも新たな設計であった場合は、形状、模様、色彩の三つの組み合わせにより判定しなければならない。 | 84. |
色彩の保護を求める意匠について、先ず当該意匠が慣例設計に該当するか否かを確定すべきであり、仮に慣例設計の場合はその模様、色彩のみに対して判定すべきであり、仮に形状、模様、色彩がいずれも新たな設計であった場合は、形状、模様、色彩の3つのの組合せにより判定すべきである。 |
85. |
不透明材料を透明材料に取り替え、又は透明材料を不透明材料に取り替え、かつ、材料特徴の変換のみに該当し、製品の意匠に明らかな変化をもたらしていない場合は、意匠の同一・類似を判断する際に考慮すべきではない。ただし、仮に透明材料が当該製品の意匠の美感に変化をもたらすることにより、当該製品に対する一般消費者の全体の視覚に変化を生じさせた場合は考慮すべきである。 被疑侵害製品が不透明材料を透明材料に取り換えた製品に該当し、透明材料を通じて製品の内部構造を観察できた場合、その内部構造は当該製品の意匠の一部分として見なすべきである。 |
||
68. | 原告と被告がいずれも意匠特許権を取得し、かつ、実施した状況の下で、仮に両意匠が同一又は類似を構成した場合は、後で取得した意匠特許権を実施した行為が先行取得した意匠特許権を侵害したと認定することができる。 | 86. | 特許権者、被疑侵害者の意匠特許出願がいずれも権利付与され、かつ、特許権者の意匠特許出願日が被疑侵害者の意匠特許出願日より早かった場合、仮に被疑侵害者の意匠が特許権者の意匠と同一又は類似を構成した場合は、被疑侵害者がその意匠特許を実施した行為が先行意匠特許権を侵害したと認定することができる。 |
四、 | その他特許権侵害行為の判断 | 五、 | その他特許権侵害行為の認定 |
(一) | 特許権侵害行為 | ||
87. |
発明と実用新案特許権が付与された後、特許法に別段の規定があることを除き、いずれかの企業・団体又は個人は、特許権者の許可を得ずに、その特許を実施してはならない。すなわち、生産経営の目的のためにその特許製品を製造・使用・販売の申出・販売・輸入してはならず、又はその特許方法を使用し、かつ、当該特許方法により直接取得した製品を使用・販売の申出・販売・輸入してはならない。 意匠特許権が付与された後、いずれかの企業・団体又は個人は、特許権者の許可を得ずに、その特許を実施してはならない。すなわち、生産経営の目的のためにその意匠特許製品を製造・販売・輸入してはならない。 |
||
88. |
発明特許の公開日及び実用新案、意匠の権利付与公告日前における実施行為は特許権侵害行為に該当しない。 発明特許の公開日から権利付与公告日までの間に、すなわち、発明特許権の仮保護期間内に当該発明を実施した企業・団体又は個人は、権利者に対して適切な使用料を支払うべきである。その実施行為の判定は、特許権侵害関連に係る法律規定を参照して適用することができる。 特許出願日の時点で出願人が求めた権利範囲と特許権利付与公告時の特許の権利範囲が一致しない場合、被疑侵害技術案がいずれも上記の両権利範囲に入る場合、被疑侵害者が仮保護期間内に当該発明を実施していたと認定すべきであり、被疑侵害技術案がそのうちの一部の権利範囲に入る場合、被疑侵害者が仮保護期間内に当該発明を実施していないと認定すべきである。 |
||
89. |
発明又は実用新案特許製品の製造とは、クレームに記載された製品の技術案が実現されたことを指し、製品の数量、品質は製造行為に対する認定に影響を与えない。 次に掲げる行為は、発明又は実用新案特許製品の製造行為と認定すべきである。 1)相違の製造方法により製品を製造する行為、但し、方法により限定された製品のクレームは除く。 2)他人に委託して製造し、又は製品に「監督製造」などを明記するような参与行為 3)部品を特許製品に組み立てる行為。 |
||
90. | 意匠特許製品の製造とは、権利者が国務院特許行政部門に特許を出願する際に提出した図面又は写真における当該意匠特許製品が実現されたことを指す。 | ||
91. | 発明又は実用新案特許製品の使用とは、クレームに記載された製品の技術案の技術機能が応用されたことを指す。 | ||
92. | 発明又は実用新案特許権を侵害した製品を部品または中間製品として別の製品を製造した場合は、特許製品に対する使用行為に該当すると認定すべきである。 | ||
93. | 特許方法の使用とは、クレームに記載された特許方法の技術案の各ステップがいずれも実現されたことを指す。当該方法を使用した結果は特許権侵害を構成するか否かに対する認定に影響を与えない。 | ||
94. |
意匠特許製品の使用とは、当該意匠製品の機能、技術性能が応用されたことを指す。 意匠特許権者の禁止権には他人がその意匠特許製品を使用することを禁ずる権利を含まない。 |
||
95. |
他人の特許権を侵害した製品を賃貸のために用いた場合は、特許製品の使用に該当すると認定すべきである。 |
||
96. |
特許製品の販売とは、特許の権利範囲に入る被疑侵害製品の所有権、又は特許方法により直接製造した製品の所有権、若しくは意匠特許を持つ製品の所有権を売り手から有償で買い手に移転することを指す。 抱き合わせ販売又はその他の方式により上記製品の所有権を譲渡し、変相して商業利益を取得した場合も当該製品の販売に該当する。 |
||
97. |
発明又は実用新案特許権を侵害した製品を部品又は中間製品として、別の製品を製造した後、当該別類製品を販売した場合は特許製品の販売に該当すると認定すべきである。 意匠特許権を侵害した製品を部品として別の製品を製造し、かつ、販売した場合は、意匠特許製品の販売行為に該当すると認定すべきであるものの、意匠特許権侵害製品が別類製品の中で技術機能のみ有する場合は除く。 技術機能のみの具有とは、当該部品が最終製品の内部構造を構成し、最終製品の正常な使用中に視覚効果を生じず、技術機能の役目のみ具有することを指す。 |
||
98. |
他人の特許権を侵害した製品を販売する行為の実際発生前に被疑侵害者が他人の特許権を侵害した製品の販売意思を表明した場合は、販売の申出を構成する。 広告し、商店の陳列窓に陳列し、インターネット又は展示会で展示するなどの方式により、他人の特許権を侵害した製品の販売意思を表明した場合、販売の申出と認定することができる。 |
||
99. | 特許製品の輸入とは、製品特許のクレームにおける権利範囲に入る製品、特許方法により直接取得し、又は意匠特許を含む製品が空間的に海外から境を越えて国内に運搬されることを指す。 | ||
100. | 方法特許延長製品とは、1つの方法発明特許権が付与された後、いずれかの企業・団体又は個人が特許権者の許諾を得ずに、生産経営の目的のために当該特許方法を使用してはならないほかに、生産経営の目的のために当該特許方法により直接取得した製品を使用・販売の申出・販売・輸入してはならない。 | ||
101. |
方法特許により直接取得した製品とは、原材料、物品を方法特許のクレームに記載された全部のステップに基づいて処理・加工し、原材料、物品が構造又は物理化学特性において明らかに変化した後で取得したオリジナル製品のことを指す。 上記のオリジナル製品を更に加工・処理して得た後続製品、すなわち、当該オリジナル製品を中間部品又は原材料として、加工・処理してその他の後続製品になった場合は、当該方法特許に基づいて直接取得した製品を使用したことに該当すると認定すべきである。当該後続製品を更に加工・処理することは、該方法特許に基づいて直接取得した製品を使用した行為に該当しない。 |
||
102. |
特許法第61条に規定する「新製品」とは、国内外において初めて作り出した製品のことを指し、当該製品は特許の出願日前にすでに存在する同類の製品に比べ、製品の成分、構造又はその品質、性能、機能などにおいて明らかに区別されている。 製品又は製品を製造する技術案が特許の出願日前に国内外の公衆に知られている場合、当該製品は特許法に規定する新製品に該当しないと認定すべきである。 新製品に該当するか否かについては、特許権者が挙証して証明すべきである。特許権者は証拠を提出して初歩的に当該製品が特許法に規定する新製品に該当することを証明した場合は、権利者が挙証責任を果たしたことと見なす。 |
||
103. |
同一製品とは、被疑侵害製品と新製品の製造方法を実施して直接取得したオリジナル製品の形状、構造又は成分などが実質性相違がないことを指す。 同一製品に該当するか否かについては、権利者が挙証して証明すべきである。 |
||
104. | 用途の発明特許について、権利者は、被疑侵害者が被疑侵害製品を製造・使用・販売・販売の申し出・輸入したのは当該特許の特定用途に用いるとのことを証明しなければならない。 | ||
(一) | 間接侵害について | (二) | 共同侵害行為 |
105. | 2人以上が共同で特許法第11条に規定する行為を実施し、又は2人以上が相互に分担提携し、共同で特許法第11条に規定する行為を実施した場合は共同侵害を構成する。 | ||
106. | 他人を教唆・幇助して特許法第11条に規定する行為を実施した場合は、実施者との共同侵害者となる。 | ||
107. | 特許権侵害製品を部品として別の製品を製造し、かつ、販売した場合、仮に被疑侵害者に分担提携があった場合は、共同侵害を構成する。 | ||
73. | 間接侵害とは、行為者の実施した行為が他人の特許権に対する直接的侵害は構成しないものの、故意に別人を誘導、扇動、教唆して他人の特許を実施させ、直接的侵害行為が生じ、行為者が主観的に別人を誘導又は教唆して他人の特許権を侵害させる故意を有し、客観的には別人の直接的権利侵害行為の発生のために必要な条件を提供したことを指す。 | ||
74. | 間接侵害の対象は専用品のみに限り、汎用品ではない。ここにいう専用品とは、他人の製品の実施のみに用いられる肝心部品又は方法特許の中間製品であり、他人の特許技術(製品又は方法)を実施する一部分を構成し、その他の用途がないものを指す。 | ||
75. | 1件の製品特許について、間接侵害とは、当該特許製品の製造に用いる原料又は部品を提供・販売又は輸入することであり、1件の方法特許について、間接侵害とは、当該方法特許に用いる材料、部品又は専用設備を提供・販売又は輸入することである。 | 108. | 専門に他人の製品特許の実施に用いる材料、専用設備又は部品を提供・販売又は輸入し、又は専門に他人の方法特許の実施に用いる材料、部品又は専用設備を提供・販売又は輸入した場合、上記の行為者と実施者は共同侵害を構成する。 |
76. | 間接侵害者は、主観的に別人を誘導・扇動・教唆して直接他人の特許権を侵害させる故意を有すべきである。 | ||
77. |
行為者は、別人が特許権侵害行為の実施を準備することを明知していながら、依然として別人のために侵害条件を提供した場合、間接侵害を構成する。 |
||
78. | 間接侵害は、通常、直接侵害の発生を前提条件とし、直接侵害行為が発生していない状況下では間接侵害が存在しない。 | ||
79. |
法により直接侵害行為について追及せず、又は特許権侵害と見なさない下記の情状下では間接侵害行為者の侵害責任を直接追及することができる。 1)当該行為が特許法第63条に規定する特許権侵害行為と見なさない行為に該当する場合 2)当該行為が、個人が非営利目的のために特許製品を製造・使用し、又は特許方法を使用した行為である場合。 |
||
109. | 他人が特許法第11条に規定する行為を実施するように、場所、倉庫、運輸などの便宜な条件を提供した場合は、実施者と一緒に共同侵害を構成する。 | ||
110. | 技術譲渡契約における譲受人が契約の約定に基づいて技術を譲り受けたうえ、実施したことが他人の特許権を侵害した場合は、譲受人がその侵害責任を負う。 | ||
80. | 中国の法律に基づいて認定した直接侵害行為が外国で発生し、又はその可能性がある場合は、間接侵害行為者の侵害責任を直接追及することができる。 | ||
(二) | 他人の特許に対する偽造についての第81~87条を削除 | ||
五、 | 特許権侵害の抗弁 | 六、 | 特許権侵害の抗弁 |
(一) | 特許権濫用の抗弁 | (一) | 特許権効力の抗弁 |
88. | 被告が、原告の特許権は既に保護期間を経過し、既に権利者により放棄され、既に中国特許局により取消され、又は既に特許審判委員会により無効にされたことを以って抗弁を行った場合は、相応の証拠を提供すべきである。 | 111. | 被疑侵害者が特許権はすでに保護期間を経過し、すでに権利者により放棄され、すでに発効法律文書により無効にされたことを以って抗弁を行った場合は、相応の証拠を提供すべきである。 |
89. | 被告が原告の特許権は特許性の要件又はその他の法律規定を満たさないことを以って無効されるべきと主張した場合、その無効審判請求は特許審判委員会に提出すべきである。 | 112. | 特許権侵害訴訟において、被疑侵害者が特許権者の特許権は特許権付与要件を満たさず、無効にされるべきとのことを以って抗弁を行った場合、当該無効審判請求は特許審判委員会に提出すべきである。 |
(二) | 特許権濫用の抗弁 | ||
90. |
被告が、原告は悪意で特許権を取得し、かつ、特許権を濫用して権利侵害訴訟を提起したことを主張した場合は、関連証拠を提出すべきである。 悪意で特許権を取得したとは、特許保護を取得すべきではない発明創造であることを明知していながら、故意に法律の回避又は不正手段を講じて特許権を取得し、その目的が不当利益又は他人の正当な実施行為を制止するにあることを指す。 |
113. |
被疑侵害者が特許権者が悪意で特許権を取得し、かつ、特許権を濫用して権利侵害訴訟を提起したとの抗弁を行った場合は、関連証拠を提出すべきである。 特許権侵害訴訟において特許権が無効にされた場合は、簡単に特許権の濫用と認定してはならない。 |
114. |
悪意で特許権を取得したとは、特許保護を取得すべき発明創造ではないことを明知していながら、故意に法律の回避又は不正手段を講じて特許権を取得し、その目的が不正利益を取得し、又は他人の正当な実施行為を制止するにあることを指す。 次に掲げる情状は悪意として認定することができる。 1)出願日前にすでにある国家基準、業界基準などの技術基準により特許を出願し、かつ、特許権を取得した場合 2)ある地区において広範に製造又は使用されている製品であることを明知していながら、特許を出願し、かつ、特許権を取得した場合。(公知技術) |
||
91. | 被告が原告と同様の効力を有する発明又は実用新案の特許権を取得したことを証明し、審理を経て、二つの特許の技術的内容が同じであると裁判所が認定できた場合、先願主義の原則に基づいて判決を下さなければならない。 | ||
(二) | 非権利侵害の抗弁 | (三) | 非権利侵害の抗弁 |
92. | 被疑侵害品(製品又は方法)に原告の発明又は実用新案特許のクレームに記載された必要技術的特徴が欠けている場合は特許権侵害を構成しない。 | 115. | 被疑侵害技術案における技術的特徴がクレームに記載された全部の技術的特徴に比べ、クレームに記載された1つ又は1つ以上の技術的特徴が欠けている場合は特許権侵害を構成しない。 |
93. |
被疑侵害品(製品又は方法)の技術的特徴が原告特許のクレームで対応する必要技術的特徴と比較して、1つ又は1つ以上の技術的特徴に本質的相違があった場合は、特許権侵害を構成しない。 ここでいう本質的相違とは次のことを指す。 1)新たな技術案を構成した区別技術的特徴、又は 2)被疑侵害品(製品又は方法)に採用した技術的特徴が機能、効果において、明らかに特許の独立クレームで対応する必要技術的特徴より優れ、かつ、当業者がかかる変更は実質的な改良を有し、容易に見付かることではないと認めた場合。 |
116. |
被疑侵害技術案における技術的特徴がクレームで対応する技術的特徴と比較して、1つ又は1つ以上の技術的特徴が同一でもなく、均等でもない場合は、特許権侵害を構成しない。 本条第1項にいう技術的特徴の非同一又は非均等とは、次のことを指す。 1)当該技術的特徴により被疑侵害技術案が新たな技術案を形成した場合 2)当該技術的特徴が機能、効果において、クレームで対応する技術的特徴より明らかに優れ、かつ、当業者がかかる変化は実質的改良を有し、容易に見付かることではないと認めた場合。 |
41. | 特許クレームにおける個別の必要技術的特徴を故意に省略して、その技術案が達成する性能及び効果が、特許の技術案に及ばず、技術案を劣化し、劣化された技術案がその必要技術的特徴を省略したことによって生じていることが明らかな場合、均等原則を適用して、特許権を侵害していると認定しなければならない。 | 117. | 被疑侵害技術案で特許クレームにおける個別技術的特徴を省略し、若しくは簡単又は低級の技術的特徴を以って特許で相応する技術的特徴を代替し、特許技術案における当該技術的特徴と対応する性能と効果を放棄し、又は顕著に降下することにより、劣化技術案を形成した場合は、特許権侵害を構成しない。 |
94. |
個人の非経営目的による製造、使用行為は、特許権侵害を構成しない。 ただし、企業・団体が許諾を得ずに他人の特許製品を製造・使用した場合は、「非営利目的」を以って権利侵害の抗弁を行うことはできず、権利侵害の責任を負うべきである。 |
118. | いずれかの企業・団体又は個人が非経営目的のために特許製品を製造・使用・輸入した場合は、特許権侵害を構成しない。 |
(三) | 権利侵害と見なさないことの抗弁 | (四) | 権利侵害と見なさないことの抗弁 |
95. |
特許権の用尽 特許権者が製造し、又は特許権者の許諾を得て製造した特許製品が販売された後、当該製品を使用又は再販売する行為は、特許権侵害と見なさない。 次の内容を含む 1)特許権者が製造し、又は特許権者の許諾を得て製造した特許製品が販売された後、当該部品を使用し、かつ、再販売する行為は、特許権者の黙認を得たものと見なすべきである。 2)製造方法特許の特許権者が製造し、又は他人に許諾して専門にその特許方法の実施に用いる設備を製造して販売された後、当該設備を使用して当該製造方法特許を実施する行為。 |
119. |
特許製品又は特許方法により直接取得した製品が特許権者又はその許諾を得た企業・団体、個人により販売された後、当該製品を使用・販売の申出・販売・輸入した場合は、特許権侵害と見なさない。 次の内容を含む。 1)特許権者又はその被許諾者が中国国内でその特許製品又は特許方法により直接取得した製品を販売した後、購入者が中国国内で当該製品を使用・販売の申出・販売する場合 2)特許権者又はその被許諾者が中国国外でその特許製品又は特許方法により直接取得した製品を販売した後、購入者が当該製品を中国国内に輸入し、かつ、それ以降、中国国内で当該製品を使用・販売の申出・販売する場合 3)特許権者又はその被許諾者がその特許製品の専用部品を販売した後、当該部品を使用・販売の申出・販売し、又はそれを組み立てて特許製品を製造した場合 4)方法特許の特許権者又はその被許諾者が専門にその特許方法の実施に用いる設備を販売した後、当該設備を使用して当該方法特許を実施する場合。 |
96. |
先使用権 特許出願日前に既に同一製品を製造し、同一方法を使用し、又はすでに製造・使用のための必要準備を完成し、かつ、元の範囲内のみで継続して製造・使用した行為は、特許権侵害と見なさない。 先使用権を享有できる要件は次のとおりである。 1)製造、使用のための必要な準備を完成したこと。必要準備とは、すでに製品図面の設計及びプロセス書類を完成し、すでに専用設備と金型を用意し、又はサンプル試作等の準備作業を完成したこと。 2)元の範囲内のみで継続して製造・使用すること。元の範囲とは、特許出願日前に準備した専用生産設備の実際生産量又は生産能力の範囲のことを指す。元の範囲を超えた製造・使用行為は、特許権侵害を構成する。 3)先行製造した製品、又は使用した方法とは、先使用権者が自ら独自に研究・完成したもの又は合法的手段で得たものであり、特許出願日前に剽窃・窃取し、又はその他の不正手段で特許権者のところから取得したものではない。 4)使用権者は、自ら先行実施した技術を譲渡することができないものの、所属企業と共に譲渡する場合は除く。 先使用権に基づいて生じた製品の販売行為も特許権侵害と見なさない |
120. |
特許出願日前にすでに同一製品を製造し、同一方法を使用し、又はすでに製造・使用のための必要準備を完成し、かつ、元の範囲内のみで継続して製造・使用した場合は、特許権侵害と見なさない。 上記の状況下で製造した特許製品又は特許方法により直接取得した製品を使用・販売の申出・販売した場合も、特許権侵害と見なさない。 |
121. |
先使用権を享有できる要件は次のとおりである。 1)製造・使用のための必要準備を完成したこと。すなわち、すでに発明創造を実施するための必須主要技術図面又はプロセス書類を完成し、又はすでに発明創造を実施するための必須主要設備若しくは原材料を製造し、又は購入した。 2)元の範囲内のみで継続して製造・使用すること。「元の範囲」には、特許出願日前にすでに有する生産規模及びすでに有する生産設備を利用し、又はすでに有する生産準備により達成できる生産規模を含む。元の範囲を超えた製造・使用行為は特許権侵害を構成する。 3)先行製造した製品又は先行使用した方法若しくは設計は、先使用権者が自ら独自で研究・完成し、又は合法的手段により特許権者又はその他の独立研究完成者から取得したものでなければならず、特許出願日前に剽窃・窃取したもの又はその他の不正手段により取得したものではない。被疑侵害者が不法で取得した技術又は設計により先使用権の抗弁を主張した場合は、認めるべきではない。 (4)先使用権者は、自ら先行実施した技術を譲渡することができないものの、所属企業と共に譲渡する場合は除く。すなわち、先使用権者が特許出願日以降に自らすでに実施し、又は実施のための必要準備を完成した技術若しくは設計について、他人にその実施を譲渡し、又は許諾し、被疑侵害者が当該実施行為は元の範囲内における継続的実施と主張した場合は、認めるべきではないものの、当該技術若しくは設計と元企業を共に譲渡し、又は承継した場合は除く。 |
||
97. | 一時的国境通過 一時的に中国の領土、領海、領空を通過する外国の運送機関について、その所属国が中国と締結した協定、又は共に加盟している国際条約、又は互恵の原則に基づいて、運送機関自体の必要上その運送機関の装置と設備の中に関連特許を使用した行為は、特許権侵害と見なさない。ただし、交通運送機関による特許製品の「転送」、すなわち、ある交通運送機関から別の交通運送機関へ転送する行為は含まない。 | 122. |
一時的に中国の領土、領海、領空を通過する外国の運輸機関について、その所属国が中国と締結した協定、又は共に加盟した国際条約、又は互恵の原則に基づき、運輸機関自体の必要上その装置又は設備の中に関連特許を使用した場合は、特許権侵害と見なさない。 ただし、一時的国境通過には、交通運送機関による特許製品の「転送」、すなわち、ある交通運送機関から別の交通運送機関へ転送する行為は含まない。 |
98. |
科学研究と実験性使用 専ら科学研究と実験のために、関連特許を使用する行為は、特許権侵害と見なさない。ここで、特許製品に対して行なう実験と実験中に特許製品を使用することは明確に区別すべきである。 1)専ら科学研究と実験のために関連特許を使用するにおける使用には、専ら科学研究と実験のために関連特許製品を製造する行為を含むべきである。 2)専ら科学研究と実験のために使用するとは、他人の特許技術を研究・検証・改良することを目的とし、使用の結果が既存の特許技術を基にして新たな技術成果を生じることを指す。 3)科学研究と実験過程で他人の特許技術を製造・使用し、その目的は他人の特許技術を研究・改良することではなく、その結果が特許技術と直接的関係を有しない場合は、特許権侵害となる。 |
123. |
専ら科学研究と実験のために関連特許を使用する行為は特許権侵害と見なさない。 専ら科学研究と実験のためとは、専ら特許技術案自体に対して行なう科学研究と実験のことを指す。 特許技術案自体に対して行なう科学研究・実験と科学研究・実験中に特許技術案を使用することは区別すべきである。 1)特許技術案自体に対して科学研究・実験を行う目的は、他人の特許技術を研究・検証・改良し、既存の特許技術を基にして新たな技術成果を生じることである。 2)科学研究・実験の過程に特許技術案を使用する目的は、他人の特許技術を研究・改良することではなく、特許技術案の利用を手段としてその他技術の研究・実験を行い、又は特許技術案を実施する商業前景を研究するなどであり、その結果と特許技術が直接的関係を有しない行為である。当該行為は特許権侵害を構成する。 本条第1項における関連特許の使用行為には、当該研究実験者が自ら特許製品を製造・使用・輸入し、又は特許方法を使用する行為を含み、他人が当該研究試験者のために特許製品を製造・輸入する行為も含む。 |
124. |
行政審査許可に必要な情報を提供するために、特許薬品又は特許医療器械を製造・使用・輸入し、及び、専らそのために特許薬品又は特許医療器械を製造・輸入することは、特許権侵害と見なさない。 行政審査許可に必要な情報とは、「中華人民共和国薬品管理法」、「中華人民共和国薬品管理法実施条例」及び「薬品登録管理方法」などの薬品管理関連法律・法規、部門規程などに規定する実験資料、研究報告、科学技術文献などの資料を指す。 |
||
(四) | 既存技術の抗弁 | (五) | 従来技術の抗弁及び従来意匠の抗弁 |
100. | 既存技術の抗弁とは、特許権侵害訴訟において、被疑侵害品(製品又は方法)と特許クレームに記載された特許技術案とが均等である状況下で、仮に被告が答弁し、かつ、相応の証拠を提出することにより、被疑侵害品(製品又は方法)が既存技術と均等であることを証明した場合、被告の行為は原告の特許権に対する侵害を構成しない。 | 125. | 従来技術の抗弁とは、特許権の権利範囲に入ると訴えられた全部の技術的特徴と従来技術案における相応の技術的特徴が同一又は均等であり、又は当業者が被疑侵害技術案は従来技術と所在分野における公知常識間の簡単な組合せと認めた場合、被疑侵害者が実施した技術は従来技術に該当し、被疑侵害者の行為は特許権侵害を構成しないと認定すべきである。 |
126. | 従来技術とは、特許出願日前に国内外において公衆に知られている技術のことを指す。2008年に改正された特許法の実施前の特許法規定に基づいて出願し、かつ、権利付与された特許について、その従来技術は、それ以前の特許法規定に基づいて確定すべきである。 | ||
127. |
抵触出願は従来技術に該当せず、従来技術の抗弁の理由にすることができない。ただし、被疑侵害者が自分が実施した特許は抵触出願に該当する特許と主張した場合は、本意見第125条における従来技術の抗弁に係る規定を参照して取り扱うことができる。 抵触出願とは、いずれかの企業・団体又は個人が特許権者の発明創造と同一の発明創造について、出願日前に国務院特許行政部門に出願を提出し、かつ、出願日以降に公布された特許出願書類又は公告された特許包袋における特許出願のことを指す。 |
||
101. | 既存技術を用いて権利侵害の抗弁を行う際に、当該既存技術は特許出願日に既存した単独の技術案であり、又はその当業者が既存技術の明らかな簡単な組合せによるものと認めた技術案でなければならない。 | ||
102. | 既存技術の抗弁は、均等の特許権侵害のみに適用し、同一特許権侵害には適用しない。 | ||
103. | 特許の技術案、被疑侵害品(製品又は方法)、引用された既存技術案の3者が明らかに同一である際に、被告は既存技術により抗弁することができず、特許審判委員会に当該特許権の無効審判を請求することができる。 | ||
128. | 従来意匠の抗弁とは、被疑侵害製品の意匠が従来意匠と同一又は類似し、又は被疑侵害製品の意匠が従来意匠と当該製品の慣例設計による簡単な組み合わせである場合、被疑侵害製品の意匠は従来意匠を構成し、被疑侵害者の行為は意匠特許権に対する侵害を構成しない。 | ||
129. | 従来意匠とは、出願日前に国内外において公衆に知られている意匠のことを指し、国内外で出版物の形式で公開し、かつ、使用などの方式で公開した設計を含む。ただし、2008年に改正された特許法の実施前の特許法規定に基づいて出願し、かつ、権利付与された意匠特許権について、その従来意匠は、それ以前の特許法規定に基づいて確定すべきである。 | ||
130. | 被疑侵害者が自分は従来意匠を実施したことで抗弁を行なった場合は、権利侵害訴訟で主張すべきであり、かつ、従来意匠の関連証拠を提供すべきである。 | ||
131. |
被疑侵害者が従来意匠を実施したことで抗弁を行なった場合は、被 疑侵害製品の意匠が従来意匠と同一又は類似であるか否かを判断すべきであり、意匠特許と従来意匠を対比すべきではない。 |
||
132. | 被疑侵害者が自分の実施したのは意匠特許の抵触出願と主張した場合は、被疑侵害意匠と抵触出願を対比すべきである。被疑侵害意匠と抵触出願が同一又は類似した場合、被疑侵害者の行為は意匠特許権侵害を構成しない。 | ||
(六) | 合理的出所の抗弁 | ||
99. |
非故意行為 生産経営の目的のために、特許権者の許可を得ずに製造・販売された特許製品、又は特許方法により直接取得した製品であることを知らずに使用・販売する行為は、特許権侵害行為に該当する。 ただし、使用者又は販売者がその製品の合法的出所を証明できた場合は、賠償責任に負わないものの、権利侵害行為を停止する法的責任を負わなければならない。ここでいう「合法的出所」とは、使用者又は販売者が、合法的な入荷ルート、正常な売買契約及び合理的価格を通じて他人から購入することを指す。 |
133. |
生産経営の目的ために、特許権者の許可を得ずに製造・販売された特許製品、又は特許方法により直接取得した製品であることを知らずに、使用・販売の申出又は販売する行為は、特許権侵害行為に該当する。 使用者又は販売者がその製品の合法的出所を証明できる場合は、賠償責任を負わないものの、侵害を停止する法的責任を負わなければならない。 合法的出所とは、使用者又は販売者が合法的入荷ルートから合理的価格で被疑侵害製品を購入し、かつ、関係証票を提供することを指す。 |
(五) | 契約の抗弁 | ||
104. | 契約の抗弁とは、特許侵害訴訟における被告が自分の実施した技術は技術譲渡契約を通じて第三者から合法的に取得したことを理由に権利侵害の抗弁を行なうことを指す。その抗弁理由は特許権侵害に対抗する理由に該当せず、単に侵害責任を負うことに対する抗弁理由に過ぎない。 | ||
105. | 技術譲渡契約における譲受人が契約の約定に基づいて譲り受けた技術を実施することにより他人の特許権を侵害した場合は、契約の譲渡人と譲受人は共同侵害を構成する。契約双方が特許権侵害訴訟の共同被告となった場合、契約に別段の定めがない限り、責任を確定する際に、先ず譲渡人が侵害責任を負い、譲受人は一般的連帯責任を負うものとする。 | ||
106. | 特許権侵害訴訟における被告が契約により抗弁する同時に、契約における譲渡人を共同被告として追加することを要求した場合、仮に原告がその追加に同意した際には、契約の譲渡人を共同被告として追加すべきである。原告が断固にその追加に同意しない際には、契約における譲渡人が侵害責任を負った後、別途契約訴訟又は仲裁により契約の紛争を解決することができる。 | ||
(六) | 訴訟時効の抗弁 | ||
107. | 特許権侵害訴訟の時効は2年であり、特許権者又は利害関係者が権利侵害行為を知る又は知るはずの日から起算する。被告は特許権者が訴訟時効の経過した行使に該当するとの抗弁を提出することができる。 | ||
108. | 被告が連続的かつ現在でも実施している特許権侵害行為はすでに訴訟時効を経過したとのことに基づいて抗弁した場合、裁判所は、原告の請求に基づいて被疑侵害者に対して権利侵害の停止を命じることができるものの、侵害の損害賠償額は原告が裁判所に提訴した日から2年前まで計算すべきである。 | ||
109. | 侵害者が権利侵害行為を終了した日から2年を経過した場合は、特許権者は勝訴権を失ってしまう。 | ||
六、 | 関連概念の理解110~129条は削除する。 |