中華人民共和国国務院令 第331号
「中華人民共和国技術輸出入管理条例」は2001年10月31日国務院第46次会議にて採択された。本日公布し、2002年1月1日より施行する。
総理 朱鎔基
2001年12月10日
中華人民共和国技術輸出入管理条例
目次
第一章 総則
第二章 技術輸入管理
第三章 技術輸出管理
第四章 法律責任
第五章 附則
第一章 総則
第1条
技術の輸出入管理を規範化し、技術輸出入の秩序を維持し、国民経済と社会の発展を促進することを目的に、「中華人民共和国対外貿易法」(以下、対外貿易法と略称する)及びその他の関連法律の関連規定に従い、この条例を制定する。
第2条
この条例にいう技術輸出入とは、中華人民共和国外から国内に、又は中華人民共和国国内から国外に、貿易、投資又は経済技術協力を通じ、技術を移転する行為のことをいう。
前項に規定した行為とは特許権の移転、特許出願権の移転、特許実施許諾、ノウハウの移転、技術サービス及びその他の方式の技術移転を含む。
第3条
国は技術輸出入について統一的な管理制度を実行し、法により、公平、自由な技術輸出入秩序を維持する。
第4条
技術輸出入は国家の産業政策、科学技術政策及び社会発展政策に合致し、わが国の科学技術の進歩及び対外経済技術協力の発展に利し、わが国の経済技術の権益維持に利しなければならない。
第5条
国家は自由な技術輸出入を認める。但し、法律、行政法規の別途に規定がある場合はこの限りではない。
第6条
国務院対外経済貿易主管部門(以下、国務院外経貿主管部門と略称する)は対外貿易法及びこの条例の規定に従い、全国の技術輸出入管理事務に責任を負う。省、自治区、直轄市人民政府の外経貿主管部門は国務院外経貿主管部門の授権に基づいて、同行政区域内の技術輸出管理事務に責任を負う。
国務院関連部門は国務院の規定に従い、技術輸出入項目の関連管理職責を履行する。
第二章 技術輸入管理
第7条
国は先進的、且つ実用的である技術の輸入を奨励する。
第8条
対外貿易法第16条、第17条に規定している条項の一つがある技術は、その輸入を禁止し又は制限する。
国務院外経貿主管部門は国務院関連部門と共同で輸入を禁止又は制限する技術目録を制定、調整又は公布する。
第9条
輸入禁止技術を輸入してはならない。
第10条
輸入制限のある技術については許可証管理を実施する。許可証を得ず、輸入してはならない。
第11条
輸入制限のある技術を輸入する場合には、国務院外経貿主管部門に技術輸入申請を提出し、且つ関連書類を添付しなければならない。
技術輸入項目は関連部門の許可を得る必要がある場合には、関連部門に許可書類を提出しなければならない。
第12条
国務院外経貿主管部門は技術輸入申請を受領してから、国務院関連主管部門と共同で審査をし、且つ申請日より30の労働日以内に許可又は不許可の決定をしなければならない。
第13条
技術輸入申請が許可された場合には、国務院外経貿主管部門は技術輸入許可意向書を付与する。
輸入経営者は技術輸入許可意向書を取得してから、対外の技術輸入契約を締結することができる。
第14条
輸入経営者は技術輸入契約を締結してから、国務院外経貿主管部門に技術輸入契約の副本及び関連書類を提出し、技術輸入許可証を申請しなければならない。
国務院外経貿主管部門は技術輸入契約の真実性について審査をし、且つ前項規定の書類を受領した日より10の労働日以内に技術輸入について許可又は不許可の決定をしなければならない。
第15条
申請人はこの条例第十一条の規定に従い、国務院外経貿主管部門に技術輸入申請を提出する場合には、締結した技術輸入契約の副本を合わせて提出することができる。
国務院外経貿主管部門はこの条例第十二条及び第十四条の規定に従い、申請及び技術輸入契約の真実性について合わせて審査する。且つ前項に規定する書類を受領した日より40労働日以内に、技術輸入について許可又は不許可の決定をする。
第16条
技術輸入が許可された場合には、国務院外経貿主管部門が技術輸入許可証を付与する。技術輸入契約は技術輸入許可証の付与日より発効する。
第17条
自由に輸入することのできる技術については契約登録管理を実施する。
自由に輸入することのできる技術を輸入する場合、契約は法により成立する時に発効し、登録を契約発効の要件としない。
第18条
自由に輸入することのできる技術を輸入する場合、国務院外経貿主管部門で登録をし、且つ以下に掲げる書類を提出しなければならない。
(一)技術輸入契約登録申請書
(二)技術輸入契約の副本
(三)契約締結者双方の法的地位を証明する書類
第19条
国務院外経貿主管部門はこの条例第十八条に規定する書類を受領した日より3労働日以内に技術輸入契約について登録をし、技術輸入契約登録証を付与する。
第20条
申請人は技術輸入許可証又は技術輸入契約登録証で外貨、銀行、税務、税関などの関連手続を取る。
第21条
この条例の規定に従い許可又は登録された技術輸入契約について、その契約の主要内容に変更がある場合には、改めて許可又は登録手続を取らなければならない。
許可又は登録された技術輸入契約を終了した場合には、速やかに国務院外経貿主管部門に登記をしなければならない。
第22条
外商投資企業を設立する場合であって、且つ外国側は技術で投資する場合に、同技術の輸入は外商投資企業の設立審査許可手続に従い、審査又は登録をしなければならない。
第23条
国務院外経貿主管部門と関連部門及びその職員は、技術輸入管理職責の履行中に知った営業秘密について守秘義務を負う。
第24条
技術輸入契約の譲渡人は、自分が提供した技術の適法な所有者であり、又は譲渡、使用許諾をする権利を有する者であることを保証しなければならない。
技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人の技術を使用した結果、第三者に権利侵害で告訴された場合、直ちに譲渡人に通知しなければならない。譲渡人は通知を受けた後、譲受人と協力し、譲受人が受ける不利益を排除しなければならない。
技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人が提供した技術を使用した結果、他人の合法的権益を侵害する場合、その責任は譲渡人が負う。
第25条
技術輸入契約の譲渡人は、提供した技術が完全で、誤りなく、且つ有効的であり、契約した技術的目標を達成することができることを保証しなければならない。
第26条
技術輸入契約の譲受人、譲渡人は契約に定めた秘密保持範囲、秘密保持期限内に譲渡人が提供した技術の未公開の部分について、守秘義務を負わなければならない。
秘密保持期間内に、秘密技術が守秘義務を負うべき側以外の原因で公開された場合には、同守秘義務は消滅する。
第27条
技術輸入契約の有効期間内に、改良した技術は改良した側に帰属する。
第28条
技術輸入契約期間の満了後、技術譲渡人と譲受人は公平合理の原則に従い、技術の継続使用について協議することができる。
第29条
技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。
(一)譲受人に技術輸入に必須ではない付帯条件を求めること。必須ではない技術、原材料、製品、設備又はサービスの購入を含む。
(二)譲受人に特許権の有効期間が満了し又は特許権が無効宣告された技術について許諾使用料の支払い又は関連義務の履行を求めること。
(三)譲受人が譲渡人に提供された技術を改良し、又は改良した技術の使用を制限すること。
(四)譲受人にその他の供給先から譲渡人が提供した技術に類似し又は競合する技術の取得を制限すること。
(五)譲受人に原材料、部品、製品又は設備の購入ルート又は供給先を不合理に制限すること。
(六)譲受人に製品の生産高、品種又は販売価格を不合理に制限すること。
(七)譲受人に輸入した技術を駆使し、生産した製品の輸出ルートを不合理に制限すること。
第三章 技術輸出管理
第30条
国は成熟した産業化技術の輸出を奨励する。
第31条
対外貿易法第十六条、第十七条に規定した条項の一つがある場合、その輸出を禁止又は制限する。
国務院外経貿主管部門は、国務院関連部門と共同で輸出禁止又は制限する技術の目録を制定、調整又は公布する。
第32条
輸出禁止のある技術は輸出してはならない。
第33条
輸出制限のある技術は許可証管理を実施する。許可なしには輸出してはならはい。
第34条
輸出制限のある技術を輸出する場合、国務院外経貿主管部門に申請書を提出しなければならない。
第35条
国務院外経貿主管部門は技術輸出申請を受領した後、国務院科学技術管理部門と共同で輸出申請技術について審査をし且つ申請書を受領した日より30労働日以内に、許可又は不許可の決定をしなければならない。
輸出制限のある技術は関連部門で秘密保持審査をする必要がある場合、国の関連規定に従い、実施する。
第36条
技術輸出申請が許可された場合には、国務院外経貿主管部門は技術輸出許可意向書を付与する。
申請人は技術輸出許可意向書を取得すれば、外国側と実質的交渉をし、技術輸出契約を締結することができる。
第37条
申請人は技術輸出契約を締結した後、国務院外経貿主管部門に対し、以下に掲げる書類を提出し、技術輸出許可証を申請しなければならない。
(一)技術輸出許可意向書
(二)技術輸出契約の副本
(三)技術資料の輸出リスト
(四)契約締結双方の法的地位を証明する書類
国務院外経貿主管部門は技術輸出契約の真実性について審査をし、且つ前項に規定した書類を受領した日より15労働日以内に、技術輸出について許可又は不許可の決定をしなければならない。
第38条
技術輸出が許可された場合には、国務院外経貿主管部門は輸出許可証を付与する。技術輸出契約は技術輸出許可証の付与日より発効する。
第39条
自由に輸出することのできる技術については、契約登録管理を実施する。
自由輸出技術を輸出する場合には、契約が法により成立する時に発効する。登録を契約が発効する条件としない。
第40条
自由輸出技術を輸出する場合には、国務院外経貿主管部門に登録申請し、且つ以下に掲げる書類を提出しなければならない。
(一)技術輸出契約登録申請書
(二)技術輸出契約の副本
(三)契約締結者双方の法的地位を証明する書類
第41条
国務院外経貿主管部門はこの条例第四十条に規定した書類を受領した日より3労働日以内に、技術輸出契約について登録をし、技術輸出契約登録証を付与しなければならない。
第42条
申請人は技術輸出許可証又は技術輸出契約登録証で外貨、銀行、税務、税関などの関連手続を取る。
第43条
この条例の規定に従い許可又は登録された技術輸入契約についてその契約の主要内容に変更がある場合、改めて許可又は登録手続を取らなければならない。
許可又は登録した技術輸出契約が終了した場合には、速やかに国務院外経貿主管部門に登記しなければならない。
第44条
国務院外経貿主管部門と関連部門及びその職員は、技術輸出管理職責の履行中に知った国家秘密及び営業秘密について守秘義務を負う。
第45条
核技術、核の軍民両用品関連技術、管理化学品生産技術、軍事技術などの輸出管制技術を輸出する場合、関連行政法規の規定に従い、処理する。
第四章 法律責任
第46条
輸出入禁止の技術を輸入又は輸出した場合、若しくは許可なしに無断で輸出入制限技術を輸出又は輸入した場合には、刑法の密輸罪、非法経営罪、国家秘密漏洩罪又はその他の罪の規定に従い、法により刑事的責任を追及する。刑事的処罰をするに及ばない場合には、状況に基づいて、税関法の関連規定に従い処罰し、又は国務院外経貿主管部門が警告を言い渡し、違法所得を没収し、違法所得の1倍以上5倍以下の罰金に処する。国務院外経貿主管部門は其の対外貿易経営の許可を取り消すことができる。
第47条
無断で許可範囲外の輸出入制限技術を輸入又は輸出した場合、刑法の非法経営罪又はその他の罪の規定に従い、刑事的責任を法により追及する。刑事的処罰をするに及ばない場合には、状況によって、税関法の関連規定に従い、処罰し、又は国務院外経貿主管部門が警告を言い渡し、違法所得を没収し、違法所得の1倍以上3倍以下の罰金に処する。国務院外経貿主管部門は其の対外貿易経営の許可を中止し又は取り消すことができる。
第48条
技術輸出入許可証又は技術輸出入契約登録証を偽造、変造又は売買した場合、刑法の非法経営罪又は国家機関の公文書、証書、印鑑の偽造、変造、売買罪の規定に従い、法により刑事的責任を追及する。刑事的処罰をするに及ばない場合には、税関法の関連規定に従い、処罰する。国務院外経貿主管部門は其の対外貿易経営の許可を取り消すことができる。
第49条
欺瞞又はその他の不正な手段で技術輸出入許可を取得した場合には、国務院外経貿主管部門は其の技術輸出入契約登録証を剥奪し、其の対外貿易経営許可を中止し又は取り消す。
第50条
欺瞞又はその他の不正な手段で技術輸出入契約登録を取得した場合、国務院外経貿主管部門は其の技術輸出入契約登録証を剥奪し、其の対外貿易経営許可を中止し又は取り消す。
第51条
技術輸出入管理職員は、この条例の規定に違反し、国家秘密又は営業秘密を漏洩した場合には、刑法の国家秘密漏洩罪又は営業秘密侵害罪の規定に従い法により刑事的責任を追及する。刑事処罰をするに及ばない場合、法により行政処分に処する。
第52条
技術輸出入管理職員は、職権を乱用し、職務を怠慢し、又は職務上の地位を利用して他人から金銭を受け取り、又は要求した場合には、刑法の職権乱用罪、職務怠慢罪、収賄罪、又はその他の罪の規定により刑事責任を追及する。刑事処分するに及ばない場合には、法により行政処分に処する。
第五章 附則
第53条
国務院外経貿主管部門が下した技術輸出入関連の批准、許可、登録又は行政処罰に不服がある場合、法により行政不服を申し立てることができ、法により裁判所に提訴することができる。
第54条
この条例の公布前に国務院が制定した技術輸出入管理関連の規定がこの条例の規定に一致していない場合、この条例を基準とする。
第55条
この条例は2002年1月1日より施行する。1985年5月24日国務院が、発布した「中華人民共和国技術導入契約管理条例」と1987年12月30日国務院が許可し、1988年1月20日対外経済貿易が発布した「中華人民共和国技術導入契約管理条例施行細則」は同時に廃止する。