2017年8月18日に正式に運営された中国初のインターネット裁判所である杭州インターネット裁判所はこの度、設立1周年を迎えた。2018年8月17日まで、同裁判所が受理したインターネット関連事件は12,074件で、そのうち、結審した事件は計10,391件であった。当事者が同意した事件について、100%オンラインで審理を行い、開廷審理の平均時間は28分で、平均審理期間は38日間であった。従来の審理方法と比べると、審理時間はそれぞれ60%及び50%が短縮できた。一審判決の未上訴率は99.1%にも達した。
 
一.技術力の発展に基づき、司法サービスの利便性を広める
 
大衆に非難されている訴訟における不便や効率性等の問題を解決するために、杭州インターネット裁判所は革新された技術力を利用し、提訴から訴状送達までの訴訟手続きをオンラインで実施できるネットワークプラットフォームを構築し、訴訟プラットフォームの移動端末(移動裁判所)を開設した。これによって、大衆に提供するインターネット裁判所の司法サービスはますます便利になった。
 
杭州インターネット裁判所は、中国全国トップレベルの人工知能(AI)立件システムを構築した。同システムは訴状の自動作成、データの自動抽出、機器による審理の自動立件、ビッグデータに基づき類似事件の推薦機能などの機能を有し、「見れば分かる、使えば分かる」という簡単な操作によって、当事者は自宅から簡単に立件できることを実現させた。現在、同裁判所では、89.2%の立件はオンラインで申請されている。
 
「送達の難」は裁判の効率性に悪影響を与えた問題である。杭州インターネット裁判所はインターネットビッグデータの力を借り、電子配信送達プラットフォームを運用し、当事者の有効な連絡先情報を迅速にポジショニングし、またブロードバンドのIPアドレスやEコマースの受荷住所などを通じて、当事者の戸籍所在地、または常住住所を校正し、当事者の実際の住所を見つけることができ、オンラインでボタンを押せば多通路で送達する操作を通じ、90%近くの事件は一回のみで書類が配信できることを実現した。
 
同時に、杭州インターネット裁判所は、「最多跑一次」(できる限り一回で解決する)という改革を司法審判と有効的に融合した。当事者がオンライン裁判を同意した事件は100%オンラインで審理を行うため、原告も被告もカナダ、ドイツ、日本などにいても、インターネットで出廷し、訴訟を完了でき、時間及び空間の制限を無くすとともに、当事者の訴訟コストも削減することが可能だ
 
杭州インターネット裁判所はペーパーレスの事件処理方法を推進し、立件し次第、電子書類を生成するシステムを応用し、オートメーション知能ファイリング分類、自動組み版及びデータ構造識別などの機能を十分活かし、事件の進捗と電子書類との同期化、書類の生成とファイルファイリングとの自動化を実現し、事件審理で形成した裁判ビッグデータの応用には確固とした基盤を構築できた。
 
二.先行試行制度の優勢を発揮し、インターネットと裁判システムの深い融合を目指す
 
情報社会の今、インターネット関連事件の証拠はほとんど電子データである。そのため、如何にこれらの証拠を保存し、証拠の真実性を確保すればよいかが問題になる。そこで杭州インターネット裁判所は、電子証拠データのプラットフォームを通じ、電子証拠データの種類、アクセス、伝送を標準化し、データの入手ルートを広げて、電子データが生成されると同時にデータを保全することによって、電子証拠データの信頼性を高めながら保存可能にした。今年6月28日、同裁判所は作品の情報ネットワーク伝播権の権利侵害紛争事件に対し、判決を下したが、その判決では、ブロックチェーン技術を用いた電子証拠データの法的効果を始めて認定し、ブロックチェーン電子証拠データの審査基準を明確にした。
 
インターネット時代の考え方を司法裁判との融合を実現させるためには、従来の裁判方法を打ち破り、オンライン裁判モードを大胆に革新する必要がある。杭州インターネット裁判所が最初に運用した非同期審理モードによって、開廷審理方法は「Face To Face」から「Back To Back」へ転換し、当事者は従来のやり方と異なり、規定される時間で物理的に裁判所に出廷しなくても裁判に参加することができるようになった。同審理モードが運営されてから、結審した事件は既に1,881件に達し、適用率も安定的に上昇している。また、杭州インターネット裁判所は積極的に知能的審理モードを模索し、人工知能(AI)を利用して知能化裁判システムを研究開発し、特定事件の立件から裁判まで知能化審理を実現できるよう努力しつつである。現在、裁判書類の生成、送達が自動的にできた金融借金事件は既に1,799件あり、平均審理時間は20日間で、日平均所要作業時間は約80分間である。
また、杭州インターネット裁判所は「訴訟プラットフォーム審理規程」、「電子送達規程」、「電子証拠司法審査基準」など15のオンライン訴訟規則を公布し、インターネット関連事件の裁判手順及び操作指南などの規則システムを構成できた。
 
インターネット裁判所の裁判長は、「インターネット裁判所の設立は、司法が主導的にインターネット発展に適応する重要な制度革新であり、単なる裁判所の審理機能をオフラインからオンラインへ移行するのではなく、インターネット方式及び考え方を用いて、インターネット関連事件の訴訟及び裁判の新しいルールを探究し、法に基づいてインターネット環境を管理し、インターネット強国戦略に良いサービスを提供することだ」と述べた。
 
 
日時:2018年8月20日
ニュースソース:最高人民法院網