近日、弊所が代理した、原告株式会社ブリヂストンが山東豪克国際橡膠工業有限公司(以下、「山東豪克社」という)、北京正強新世紀国際貿易有限公司(以下、「北京正強社」という)を訴えた「タイヤ」意匠権侵害紛争事件は、最高裁判所より、一、二審判決を取り消し、権利侵害が成立すると判定した再審判決が下された。
本件では、原告は2017年に、被告山東豪克社が自社所有の「タイヤ」意匠権と酷似したタイヤ製品を製造、販売、販売申出をし、北京正強社が当該タイヤ製品を販売していることを発見し、自身の合法的権益を守るために弊所に証拠収集をした上、一審裁判所に訴訟を提起することを依頼した。一審判決は、被疑侵害品と係争意匠の主なデザイン部分は類似しているが、被疑侵害品の中央三列の環状陸部にそれぞれ赤色、黄色、白色の識別線があるのに対して、係争意匠の対応の環状陸部には縦向きの直線の溝である。これらの差異点は、被疑侵害品と係争意匠の全体的な視覚効果に実質的な差異を生じさせ、被疑侵害製品は係争意匠の保護範囲に入っていないため、原告のすべての訴訟請求を棄却した。
当方は一審判決に不服として上訴し、二審裁判所は被疑侵害品における「赤色、黄色、白色」の識別線が比較内容に含まれるべきではないという当方の主張を認めたが、係争意匠の環状陸部における2本の縦向きの溝が両者の全体的な視覚効果に明らかな差異を生じさせ、それに加え、係争意匠と被疑侵害品に突起部を設けた主溝の数、横向きの溝の形状及び縦向きの溝との連通方式などについても差異があるため、一般消費者の全体的な視覚効果を基準として、被疑侵害製品と係争意匠とは全体的な視覚効果に実質的な差異があると判断し、当方の上訴請求を棄却し、一審判決を維持した。
その後、弊所は最高裁判所に再審を申立て、一、二審判決における意匠の類否判断の手法に誤りがあり、係争意匠と被訴侵害品の共通点の影響を無視し、且つ従来意匠に区別できる設計特徴が全体的視覚効果に与える影響を考慮していない。係争意匠と被訴侵害品の共通点は係争意匠が従来意匠と区別できる設計の特徴部分であり、全体的視覚効果により顕著な影響を与える。かつ、一、二審裁判所が認定した視覚的効果に顕著な影響を与える相違点、つまり環状陸部における縦向きの溝は慣用手法であり、従来意匠に区別できる係争意匠の設計特徴と比べ、慣用手法による変化は一般消費者に注意できない変化であり、両者は類似に該当する、と主張した。
最高裁判所は2023年に本件の再審を裁定し、2023年10月20日に再審判決を下した。再審判決において、最高裁判所は当方主張を認めて、被疑侵害品の設計は、係争意匠の保護範囲に入っていると認定し、一、二審判決を取り消し、被告山東豪克社が原告に経済的損失及び合理的支出30万元を支払うよう命じた。
本件は弊所が代理した第7件の最高裁で成功的に再審して逆転勝訴を収めた事件である。
本件では、原告は2017年に、被告山東豪克社が自社所有の「タイヤ」意匠権と酷似したタイヤ製品を製造、販売、販売申出をし、北京正強社が当該タイヤ製品を販売していることを発見し、自身の合法的権益を守るために弊所に証拠収集をした上、一審裁判所に訴訟を提起することを依頼した。一審判決は、被疑侵害品と係争意匠の主なデザイン部分は類似しているが、被疑侵害品の中央三列の環状陸部にそれぞれ赤色、黄色、白色の識別線があるのに対して、係争意匠の対応の環状陸部には縦向きの直線の溝である。これらの差異点は、被疑侵害品と係争意匠の全体的な視覚効果に実質的な差異を生じさせ、被疑侵害製品は係争意匠の保護範囲に入っていないため、原告のすべての訴訟請求を棄却した。
当方は一審判決に不服として上訴し、二審裁判所は被疑侵害品における「赤色、黄色、白色」の識別線が比較内容に含まれるべきではないという当方の主張を認めたが、係争意匠の環状陸部における2本の縦向きの溝が両者の全体的な視覚効果に明らかな差異を生じさせ、それに加え、係争意匠と被疑侵害品に突起部を設けた主溝の数、横向きの溝の形状及び縦向きの溝との連通方式などについても差異があるため、一般消費者の全体的な視覚効果を基準として、被疑侵害製品と係争意匠とは全体的な視覚効果に実質的な差異があると判断し、当方の上訴請求を棄却し、一審判決を維持した。
その後、弊所は最高裁判所に再審を申立て、一、二審判決における意匠の類否判断の手法に誤りがあり、係争意匠と被訴侵害品の共通点の影響を無視し、且つ従来意匠に区別できる設計特徴が全体的視覚効果に与える影響を考慮していない。係争意匠と被訴侵害品の共通点は係争意匠が従来意匠と区別できる設計の特徴部分であり、全体的視覚効果により顕著な影響を与える。かつ、一、二審裁判所が認定した視覚的効果に顕著な影響を与える相違点、つまり環状陸部における縦向きの溝は慣用手法であり、従来意匠に区別できる係争意匠の設計特徴と比べ、慣用手法による変化は一般消費者に注意できない変化であり、両者は類似に該当する、と主張した。
最高裁判所は2023年に本件の再審を裁定し、2023年10月20日に再審判決を下した。再審判決において、最高裁判所は当方主張を認めて、被疑侵害品の設計は、係争意匠の保護範囲に入っていると認定し、一、二審判決を取り消し、被告山東豪克社が原告に経済的損失及び合理的支出30万元を支払うよう命じた。
本件は弊所が代理した第7件の最高裁で成功的に再審して逆転勝訴を収めた事件である。