近日、明陽科技(蘇州)股份有限公司(以下、明陽科技という)の社長一行は弊所にご来訪いただいた。弊所弁理士が同社の無効宣告請求と権利侵害訴訟事件の対応において表現された高い専門技術レベル、プロな法律見解などは高く評価され、更に錦旗を贈呈された。
 
写真紹介:明陽科技より贈呈の錦旗
 
案件概要:

2020年9月、ある世界トップ500企業は、明陽科技を相手取ってその発明特許が侵害されたとして1,500万元の損害賠償金と侵害行為の差止をを請求する訴訟を提起した。

弊所は明陽科技の依頼を受け、対象特許に対して無効審判請求を提出した。弊所担当弁理士の充分な事前準備とプロな技術抗弁によって、国家知識産権局は、2021年7月1日に、明細書の開示が不十分ということで対象特許の発明の全部を無効とする審決を下した。
 
本件ポイント:

本件では、対象特許の構成要件は、熱可塑性フッ素ポリマーの機能化の改性にある。特許権者は、対象特許の採用した機能化された熱可塑性ポリマーはグラフトポリマーであり、引用文献に開示された単量体の共重合により得られたポリマーではないと主張し、グラフトポリマーが単量体の共重合によるポリマーより優れた技術効果を有することを証明する反証を提供した。
 
弊所の本事件担当弁理士は関連技術分野の技術背景を持っており、特に熱可塑性フッ素ポリマーの機能化について研究開発経験を有し、熱可塑性フッ素ポリマーのグラフト率が特許権者の主張したレベルまでに達することができないとよく知っているため、合議体に機能化された熱可塑性フッ素ポリマーがどのような工程を通じて得られるのか、如何にして機能基の接続方式を制御または選択するのか、得られた製品の分子量分布、構造などを知らない限り、対象特許の具体的な技術手段及びその効果を特定できないと主張し、関連する証拠と詳細な技術説明資料を提供した。
 
最終には、国家知識産権局は、弊所の主張した開示不十分という見解を支持し、対象特許の全部を無効とする審決を下した。