ポイント:意匠の類似性を判断する際に、その同異点をめぐり、客観的、全面的に総括しながら、先行意匠を参照に、且つ創作スペースの大きさを組み合わせて、その設計特徴が全体の視覚的効果に対する影響を評価すべきでる。

概要:ReFa美容ローラは株式会社MTGの主力ブランドの一つであり、その高い人気で、アジア地域に多くな模倣品が出まわっている。その正当な権利を保護するために、弊所はMTG社のご依頼を受けて、模倣品に対して積極的な権利の保護活動を協力させていただいていた。ほとんどの事件は、当方の主張が裁判所に認められ、よい結果を収めた。そのうち、ReFaシリーズ事件の中のCarat美容ローラに関する意匠権利侵害事件のみが一審と二審の段階では相手会社がMTG社の権利侵害に該当しないと判断された。一審裁判所は、係争意匠とイゴ製品とが五つの相違点があり、全体の視覚的効果に影響を及ぼしたため、類似に該当しないと認定し、当方の訴訟請求は全部棄却した。一審裁判所の判決に不服があり、提訴したが、控訴審では一審判決を維持するとされた。

その後、弊所は、「相違点というより、イゴ製品と係争意匠の同一点のほうが多くあり、しかもこれらの同一点が係争意匠と先行意匠の区別設計特徴でもあり、全体の視覚的効果により一層の影響力がある。それに、その相違点は些細な差別であるか、または使用する時に容易に観察できない部位にあるかのため、両者に実質的な差異のある視覚的効果を生じさせかねる。」と主張し、最高裁判所に再審を申し立てた。最高裁は、2019年より本事件を自ら再審する裁定を下し、2020年3月19日に再審判決を言い渡した。再審判決では、最高裁は、意匠の類似性の判断に当たり、「①一般消費者に着目し、係争意匠とイゴ製品のデザインとの同一点と相違点を客観的、全面的に総括すること。②先行意匠を参照し、製品の正常使用を前提とし、先行意匠との相違点及び容易に観察しえる設計特徴を確定すること。③各創作のスペースの大きさを組み合わせて、上記の設計特徴それぞれの全体の視覚的効果に対する影響力を評価すること。④「全体的に観察し、総合的に判断する」という原則に戻し、結論を下すこと」というステップに従って判断すべきと明確に表明した。これを踏まえ、最高裁は、一審判決と二審判決を取消し、権利侵害に該当すると認定した。